自社サービスにAIを積極的に導入しているリクルートだが、その活用を推進する部署がリクルートテクノロジーズにある。彼らがどのようにして業務部門と連携しているのか。そのカギの1つに「API」があるという。
「ウチも人工知能を使って、何かできないだろうか?」
こんな“ムチャぶり”を受けて困り果ててしまった――というケースは今、増えているのではないだろうか。「人工知能(AI)に関する10の『よくある誤解』」を発表したガートナーも、AIの誤解されやすいポイントとして「すごく賢いAIが既に存在する」「IBM Watsonのようなものや機械学習、深層学習を導入すれば、誰でもすぐに『すごいこと』ができる」という2点を挙げている。
確かにAIには大きな可能性がある。しかし、それを正しく理解し、業務とつなげられなければ、AIがその価値を発揮することはない。一般的にAIをビジネスに生かそうとするときには、業務課題などのニーズがプロジェクトの起点になるケースが多いが、それとは逆のアプローチを取り入れる企業がある。「リクルート」だ。
リクルートグループのR&Dや、新ソリューションの開拓を担うリクルートテクノロジーズでは、グループ全体のサービスから得られる膨大なデータをビジネスに生かすべく日々奮闘する、ビッグデータ部がある。彼らはグループ企業とのコラボレーションを行うほか、最近ではAPI(Application Programing Interface)を社外に公開するなど、活動の幅を広げているという。
ビッグデータ部では、各事業の現場から上がってくるニーズを受けてソリューションを提供する以外にも、技術起点で研究開発を行い「この技術を、サービスに生かせないか?」と現場に提案するアプローチを採っている。課題ありきのソリューションだけでは、イノベーションを起こすことは難しい、という考えからだ。
技術視点のアイデアを提案する際は、まず個人的に興味がある分野や技術についてグループ内で話をし、アイデアを膨らませていく。その後、デモを作って各事業会社に持っていくという。
「デモを見せて『これ、面白いじゃん』と言ってもらえればその方向で進みますし、『そうじゃなくて、こっちなんだよね』という反応であれば、その意見をもとに内容を調整し、また持っていく。そんなふうに細かくサイクルを回していくうちにプロダクトに落とし込まれていく、というプロセスですね」(リクルートテクノロジーズ ITソリューション統括部 ビッグデータ部 ビッグデータプロダクト開発グループ 高橋諒さん)
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