「顧客視点」という言葉に潜む“落とし穴”榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』(2/2 ページ)

» 2017年12月08日 07時00分 公開
[榊巻亮ITmedia]
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“顧客視点”を持つ方法とは

 徹底的に顧客に“なって”考える。「顧客“だったら”」がキーワードだ。――この考え方はとてもパワフルだと思った。

 「顧客視点で」「経営視点で」「現場目線で」「全体最適視点で」なんて言葉はよく聞くけれど、結局どうすれば顧客視点で考えられるのか、実のところよく分からない。「顧客視点で考える」と号令をかけて満足し、「考えたつもり」になってしまう。

 それを避けるための答えはシンプルだ。「自分が顧客だったら」と考えればいい

 この想像力が低いと、何をやってもダメだ。気が利かない人は、この想像力が低い。相手になりきることが大事だ。

 超優秀な営業マンは、営業などしていなかった。誰よりも顧客に心を重ねて、誰よりも顧客自身になっていたのだ。想像できないなら、顧客になってみればいい。そのサービスを受けてみればいい。その仕事をやってみればいい。

 そして、「顧客だったら」と考えると、途端に自分の利害を優先する思考から抜け出せる

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 「顧客だったら何をしてほしいか」を考えた先に、自分が売っているものがハマるなら売ればいい。そうでないなら、押し売りするのではなく、「僕のサービスは合いませんね」とハッキリ伝えた上で、ニーズを満たせそうなサービスをよそから探してきて伝えてあげればいい。自分なら、そうしてほしいはずだから。

 この考え方は、今でも僕の基本スタンスになっている。顧客に心を重ねる。顧客より顧客のことを考える。そして顧客にとって正しいことをする。その結果、選ばれるのが僕らのビジネスにならなくたって全く問題ない。

 実は、これは、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのポリシーにもなっている。

  • 「自社の利害は横に置け。顧客に取って正しいことを追求せよ」

 こういうふうに仕事ができるのは、気持ちがいいものだ。

著者プロフィール:榊巻亮

book 『抵抗勢力との向き合い方』

コンサルティング会社、ケンブリッジのコンサルタント。一級建築士。ファシリテーションとITを武器に変革プロジェクトを支援しています。

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