口蹄疫で豚が全滅 ITを駆使してどん底から這い上がった畜産農家の起死回生データのじかん(1/3 ページ)

ITを積極的に活用した養豚場経営に取り組む宮崎県の畜産農家「協同ファーム」。畜産にIoTを活用し、業務効率化や品質向上を目指す取り組みとは?

» 2017年12月14日 07時00分 公開

「データのじかん」とは

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本記事は「データのじかん」に掲載された「「IoTで畜産のブレークスルー目指す」を編集して掲載しています。


 インターネットとモノを結び付ける技術、IoT。その最先端技術を養豚に生かそうと、宮崎県の畜産農家が挑戦している。宮崎ブランドポーク「まるみ豚(とん)」の生産で知られる川南町の「協同ファーム」だ。社長は2代目の日高義暢さん。

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 協同ファームは日高社長の父吉幸さん(故人)が1968年ごろに興した養豚場が前身。だが当初は2代目を継ぐ気はなかったという。中学、高校とバスケットに明け暮れ、将来はプロ選手を目指していた。夢を諦めた後は、大阪の関西外国語大に進学し、英語とイタリア語を学んだ。イタリアに留学したときに実家が豚を飼っているとイタリア人の友人に話すと「こんなにステキな仕事を、なぜお前はやらないんだ」といわれて養豚の価値を見直したのが、後を継ぐきっかけになった。

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 農業系の高校、大学を出たわけではない、いわば“門外漢”だが、本人は「それが良かった。外の世界を見られたから」と笑う。日高社長がまとう進取の精神は、そういう経歴からきているのかもしれない。

 日高社長の従来のやり方にとらわれない養豚場経営は、IT技術を積極的に活用しているのが特徴だ。従業員はパート含めて24人(2017年9月時点)で、うち12人が現場で養豚に携わっている。

 就業管理はクラウドサービス「TeamSpirit」を2017年1月に導入して各人が入力、グラフで無駄な時間を“見える化”し、意識改革につなげている。また、LINEのビジネス向け有償サービス「LINE WORKS」も同年9月から使い始め、従業員同士の業務報告のツールとして活用。設備や豚の異常を投稿すると手の空いた従業員がすぐ対応できるようになった。こうした仕組みは、従業員のほぼ全員にiPhoneを支給することで、可能にした。

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