AIのビジネス活用を日本の“お家芸”に――AI分野11社が結集した企業連合の野望とはWeekly Memo(1/2 ページ)

AI技術のビジネス活用を推進する企業連合が発足した。「AIビジネス推進コンソーシアム」は自らの活動を日本の“お家芸”にしようという狙いもある。果たして奏効するか。

» 2017年12月18日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

「AIビジネス推進コンソーシアム」が発足

Photo 会見に臨むグリッドの曽我部完 代表取締役

 「AI(人工知能)技術を実際にビジネスで使っていけるようにしたい」――。12月13日に発足したAI関連の企業連合の設立発表会見で、この動きの仕掛け人であるグリッドの曽我部完 代表取締役はこう強調した。

 新設された企業連合は「AIビジネス推進コンソーシアム」。「AI を社会に役立て、ビジネスや研究活動を活性化・推進すること」が目的だ。曽我部氏は「国内のAIサービスの開発力強化と産業界へのAI適用の加速を目指す」とも強調。設立の趣旨について次のように述べた。

 「昨今、IoT/AI技術の発達により、データを資源として活用し、新サービスの創出や社会課題の解決に役立てようとする動きが活発化している。国内でもAIを利用したサービスを展開する企業は増加傾向にあるが、実証実験や検証の段階にある事例が多く、ビジネスでの利用についてはいまだ黎明期の状態だ。AIをビジネスで活用し、各企業や組織が世界的なレベルでデジタルトランスフォーメーションを推進するには、各社のAIについての知見や事例を共有し、技術的な底上げを図る必要がある。各社がノウハウを相互に共有し、AIアプリケーションの共有やビジネス相互協力を通してAIを社会に役立て、ビジネスや研究活動を活性化・推進するために本コンソーシアムを設立した」

 少々長いコメントになったが、実はこの文言が同コンソーシアムの設立趣旨にほぼ明記されており、これだけ読めば、今回の動きのポイントをつかめるので、ほぼ全文を記しておいた。

 設立当初の参加企業は、伊藤忠商事、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、OSIsoft Japan、グリッド、zero to one、TIS、富士通、丸紅、丸紅情報システムズ、三井情報、三井物産の11社。CTC、グリッド、TIS、富士通が運営理事に就いた。

 今回の動きの仕掛け人となったグリッドは、機械学習・深層学習のフレームワーク「ReNom(リノーム)」を開発し、提供している日本有数のAIベンチャー企業と目されており、同社がReNomで蓄積してきた知見やノウハウを公開している活動が、本コンソーシアム設立のきっかけとなっている。参加企業については、「今後、ユーザー企業、サービス事業者、大学・研究機関を問わず、協業を広げていきたい」(曽我部氏)という。(図1)

Photo 図1 ユーザー企業、サービス事業者、大学・研究機関へ参加企業を広げていく計画(出典:AIビジネス推進コンソーシアムの資料)
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