AIビジネス推進コンソーシアムの主な活動内容としては、「AIに関連した技術やビジネス推進に関する情報交換」「AIの開発に関連したチュートリアルやアプリケーションの共有および情報交換」「AIの開発に関連したビジネスの相互協力やビジネス協業のための情報交換」「目的達成に必要なワーキンググループの設置」といった点を挙げている。
この活動内容について曽我部氏は、「多くのエンジニアが開発できるようにするには、アルゴリズムとビジネスのギャップを埋める必要がある。そのために、チュートリアルやアプリケーション開発のテンプレート、ユースケースにおける情報のやりとりや共有に注力していきたい」と説明。また、「AIのビジネス活用については今、企業の間で競争するより協業して適用できる領域を広げていく時期だと考えている」と語ったのが印象的だった。(図2)
ただ、AI関連ベンダーという意味では、GoogleやMicrosoft、Facebookなどといった米国勢の動きが目立っており、この分野における日本の発信力は乏しいのが現状だ。そうした中で、同コンソーシアムの活動は米国勢に戦いを挑んでいくことにもなるのか。会見の質疑応答でこの点を聞いてみると、曽我部氏は次のように答えた。
「実は米国でも、AIの開発競争はヒートアップしているが、ビジネス活用はそれほど進んでいないというのが私の感触だ。その意味では日本も米国同様、本格的な動きはこれからだが、日本は産業ごとや企業ごとでみるとAIに熱心に取り組もうという姿勢が目立っており、AIのビジネス活用では世界をリードできる可能性があるのではないかと思っている。それくらいのチャレンジ精神を持って、このコンソーシアムの活動を広げて大いに活発化させていきたいと考えている」
すなわち、AIのビジネス活用を日本の“お家芸”にしたいというのが、その名の通り、AIビジネス推進コンソーシアムの野望といえそうだ。
発表会見には、同コンソーシアムの参加企業のAI関連事業トップも顔をそろえ、一言ずつ活動に向けた決意や期待を語り、各社とも力の入れようをうかがわせた。
とはいえ、参加企業のサービス事業者にしてもユーザー企業にしても、今後AIのビジネス活用が進んでいけば、大事な部分は競争力の源泉になる可能性が高い。曽我部氏が言うように「今は競争より協業の時」かもしれないが、数年後、同コンソーシアムにおいてそれがどのようなバランスになっているか。その意味でも活況でバランスのとれた、世界にも通用する存在になっていってもらいたいものである。
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