2017年のエンプラ的キーワード「デジタルトランスフォーメーション」をあらためて解説するWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2017年12月25日 11時45分 公開
[松岡功ITmedia]
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デジタルトランスフォーメーションを実現する技術的なポイント

 では、DXを実現する中核技術であるAIおよびIoTには、どのような技術的なポイントがあるのか。中川氏はNTTデータが持つ技術力の特徴や強みを踏まえつつ、その答えを説明した。

 同社はまずAIの活用領域として、「音声・対話チャットによる質問応答」「RPAを拡張したオフィスワーク支援」「申請に基づく調査・審査業務」に注力している。人間との関係でいえば、質問応答とオフィスワーク支援はコグニティブ(認知)領域、調査・審査業務はアナリティクス領域だ。これらの技術的なポイントとしては、下図に挙がっているものが要素となる。

Photo AI技術のポイント(出典:NTTデータ)

 一方、同社におけるIoTの技術的なポイントは「デバイス協調基盤」を中心として、さまざまなIoT基盤によるデータ収集・蓄積から、デバイス層、プラットフォーム(PF)層、アプリケーション(AP)層にわたってアップダウンし、エッジAIでアクチュエーションする仕組みを統合していることだ。ここで興味深いのは、競合他社を含めたさまざまなIoT基盤とも連携する形のデバイス協調基盤というものを前面に押し出していることだ。

Photo IoT技術のポイント(出典:NTTデータ)

 では、デバイス協調基盤とは具体的にどんなものなのか。下図がその内容である。AIエンジン連携、対話制御、音声認識、デバイス連携・制御、ログ分析などといった要素から成り立つデバイス協調基盤は、同社のIoTソリューションを支える、まさしく“肝”なのだ。

Photo デバイス協調基盤の内容(出典:NTTデータ)

 中川氏によるDXの話はここまでだが、あらためて「今まさにUXデザインを再考する時代に来ている」および「デジタルによって競争の次元を変える“トランスフォーメーション”が起ころうとしている」との発言が印象深かった。

 最後に、筆者も訴えておきたい。DXに関連する取材を通じてつくづく感じるのは、「DXは企業にとって、ビジネスにおいてもマネジメントにおいても“攻め”の取り組みであり、変革に向けた絶好のチャンスである」ということだ。逆に言うと、そうした気概がない企業(さらに言えば経営者)がDXに取り組もうとしても、うまくいかないというか、うまくいくはずがないのだ。まずは、変革に挑む覚悟を持つところが“スタートライン”と言える。

 来る2018年は、そんな気概にあふれた企業を数多く取材できることを期待したい。

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