一方、2020年5月12日に会見を開いたNECの新野氏は、コロナ危機の影響や対応について、次のように述べた。
「コロナ危機が収束した後に訪れる『ニューノーマル』(新常態)の時代は、デジタル化、リモート化、オンライン化、省人化、タッチレス化が急速に浸透していくだろう。こうした変化は、まさに当社がこれまで培ってきたDXや生体認証、AI(人工知能)、5G(第5世代移動体通信)などのテクノロジーをフルに生かせる領域だ。これらのテクノロジーとお客さまへのソリューション提供力を駆使して、ニューノーマルな社会の実現に貢献していきたい」
このコメントでチェックしたい点が1つある。コロナ対策でITがどう役立つかを新野氏が端的に説明する際に使った「デジタル化」「リモート化」「オンライン化」「省人化」「タッチレス化」の5つの言葉が、今後必要な変化の全てを明瞭にしつつ包含しているのではないかということだ。ぜひ、押さえておきたい5つのキーワードである。
新野氏はニューノーマルな社会に向けて、主要な業種では図3に示すような変化が起きるだろうと述べた。それぞれの内容を見ると、やはりどれも前出の5つのキーワードがベースになっている。
また、同氏はニューノーマルに向けたNECの取り組みとして「テレワークソリューション」「マスク対応顔認証システム」「新型コロナウイルスのワクチン設計」の3つを紹介した。図4に示したのが、それぞれの内容である。
では、今後の企業のIT投資動向についてはどうみているのか。
新野氏は「コロナ危機の影響を大きく受けた製造業界やサービス業界では一時的に投資を抑制したり、業種に関わらず既存システムへの投資を先延ばしにしたりする動きが出てくるかもしれないが、その中でもDXへの投資はコロナ対策としても増加していくだろう。社会の在り方が大きく変わろうとする動きに、当社のテクノロジーが少なからず貢献できると確信している」との見解を示した。
両氏とも異口同音で語ったのは「これからはコロナ対策としてもDX投資が増えていく」という内容だ。この視点をユーザー企業サイドに立って表現すると「コロナ対策としてもDXこそが生き残りをかけた必須のアクション」といえるだろう。「嵐が過ぎ去るのをただ待っていても、もはや元に戻ることはない」ことを肝に銘じておきたいところである。
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