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DVDマルチでフル対応、画質にもコダワリを見せるVHS一体型レビュー:日本ビクター「DR-MV1」(2/2 ページ)

» 2004年03月12日 01時28分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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 しかしDR-MV1では、LPモードでも480×480ピクセル、FRモードでは544×480ピクセルという解像度を利用できる。水平解像度を高めに維持し、録画時に高度なノイズリダクションを併用することで低ビットレートでも高解像度で破綻のない画質を実現した。可変ビットレートも相まって、確かにトータルの画質も悪くない。LPモードでは人肌のアップなどでグラデーションに違和感を感じたりすることもあるが、動きの激しいシーンでも破綻を感じることはほとんどなかった。解像度が高いため、小さな文字でもジャギーが目立たない点は大きなメリットだ。

photo 左から、SP/FR/LPの各モードで録画した動画ファイルのサイズ。XP/SPまではD1(720×480ピクセル)だが、FRでDVDメディアに3時間前後録画可能な設定では544×480ピクセル、LPでは480×480ピクセルといった変則的なサイズで録画されているのがわかる

 ただし、再生互換性に関しては多少の注意がいる。意図的に544×480ピクセル、480×480ピクセルでDVD-RAMへ録画した番組をPC上で再生したとき、ちょっと不都合が生じたのだ。たとえば、DVD-VR対応のDVD再生ソフト「PowerDVD XP」で再生すると、縦横比が4:3ではなくなってしまい、「DVD MovieAlubum」では再生こそ問題なかったが、MPEG2ファイルへの高速切り出しが不可能になった。DVD-RAMやDVD-RWメディアを使ってPCとの連携を考えている人は、LPモードおよびFRモードでの録画は避けたほうがいいかもしれない。

 音声付きの動画サムネイルを表示できるリスト表示は、なかなか便利だ。テレビ番組を録画する場合、番組開始の数秒前から録画が開始されるが、先頭の画面はCMの場合が多く、単に先頭画面をサムネイル表示されてもあまり意味はない。DR-MV1では、録画した番組にカーソルを移動するとサムネイルが表示され、数秒待てば番組の先頭が確認できる。EPGなどは搭載しておらず、自動で番組名などを登録できないだけに、重宝する機能だ。

 DVD-RAM、DVD-RWへのVRフォーマット記録で利用できる編集機能は、不要部分をカットしていくタイプで、1カ所ずつしか行えない。ただし、編集中に早見、早戻しも行えるので、CMカットは結構快適だ。またプレイリストを利用すれば、オリジナル映像を加工することなく見たい部分を次々と再生できる。

photo ナビボタンを押すと、DVDでは音声付きの動画サムネイルで一覧表示される
photo 編集機能は単純なカット編集のみだが、早戻し、早見、スロー再生などを行いながらカットポイントを決められるため、CMカット程度なら素早く行える
photo VHSでも、ナビボタンを押すとテープに録画した番組の簡単な一覧が表示され、頭出しを行うこともできる

 また、VHSの録画品質も特に悪くはないのだが、チューナーの質が良いだけに落差は感じた。S-VHSではなくVHSなので最初から大きな期待はできないのだが、少々もったいない気がする。

シンプルでわかりやすいダビング機能

 注目のダビング機能は、シンプルでわかりやすいもの。VHSからDVDか、DVDからVHSかのダビング方向を決めたら、録画側で録画モードを設定し、次に“丸ごとダビング”ボタンを2秒押すだけ。録画されている内容を、まるまるダビングしてくれる。なお、VHSからDVDへダビングする場合には、VHSテープを一度先頭まで巻き戻してからダビングが行われる。

 一部だけをダビングしたい場合は、“丸ごとダビング”ボタンが再生側と録画側の「一時停止」を同時に解除する機能を果たす。再生側はダビング開始したい部分で一時停止させ、録画側は録画モードを設定してから録画一時停止(VHSなら録画開始する部分で)して、“丸ごとダビング”ボタンを2秒押せばダビング開始だ。

 ダビング操作専用の3つのボタンが付いているのは本体のみだが、基本的にはテープやメディアの交換を伴う作業なので不便さは感じないはずだ。

photo ダビング操作用のボタンは本体右側。丸ごとコピーなら方向を決めて、開始ボタンを押すだけ

 気になるVHSからDVDへのダビングがどうだろうか。今回は、実際にVHSの標準モードで地上波番組を録画し、これをDVDにダビングしてみた。XPとSPではほとんど画質差はなく、オリジナルからの劣化はほとんど感じない。LPでも十分満足の行く画質だった。VHSテープの録画状態が良好ならSP、そうでないならLPで十分だろう。

ビクターらしい高画質への拘りと、統一感のある操作性が魅力

 DV-MV1は、後発の製品となるだけに、ビクター初のVHS+DVDビデオレコーダーでありながらも、良く練られた製品だ。もちろん、競合製品同様“既に存在するDVDレコーダーとVHSデッキを1台にまとめたもの”という印象が拭えない訳ではないが、可能な範囲で操作性も統一されている。別にDV-MV1に限ったことではないが、VHS側のチープな画面表示は多少工夫して欲しいと思う。凝っているDVD側と落差がありすぎるのだ。

 既に述べた通り、バランスが良く質の高い2つのチューナー、実用的な範囲で高画質なDVD録画機能は大きな魅力だ。少なくとも、LPモードは競合製品よりもずっと見栄えが良く、大画面テレビで視聴するのでなければこれで十分と思える。少々例外的な解像度も民生機での再生に限定すれば問題はなさそうだ。

 気になる点を挙げると、まずカートリッジタイプのDVD-RAMが使えないこと。メディアに傷や埃のつきにくいカートリッジはDVD-RAMの大きなメリットだし、カートリッジなしの両面タイプはメディア自体にタイトルなどを書き込むことができない。おっかけ再生や録画中の録画済番組再生がDVD-RAMのみの対応であり、RAMの使用頻度が高そうなことも考え合わせると、次期製品では改善してほしい点だ。

 また、ビデオ出力のS端子とD1端子がDVD側専用になっていて、VHS側の映像が出力されない点も気になる。VHSテープの再生ではS端子やD1端子の意味がほとんどないことはわかっているが、配線の手間や使い勝手という点で気になる。VHS側の映像も、全ての出力端子に出力してほしいものだ。もっともビデオ出力の問題は、競合製品も似たような状況ではあるのだが……。

photo AV入力1系統、出力2系統になるが、出力の1系統はDVD専用でS端子とD1出力もDVD専用。D1出力はともかく、S端子は共用にしてほしい
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