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待望のDIGA新モデル、「DMR-E85H」をチェック(前編)レビュー:松下電器産業「DMR-E85H」(1/2 ページ)

» 2004年03月29日 01時13分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 DVDレコーダーのベストセラー、DIGAの2004年春モデルが発売開始された。ハイエンドモデルはそのままに、普及モデルのみの新製品投入だが、ソフトウェアは大幅にバージョンアップされ、機能的にはハイエンドモデルを上回る部分もある。DVD+HDDのハイブリッドレコーダーで主力製品になる「DMR-E85H」をチェックしていこう。

 「DMR-E85H」は、DVD-R/RAM対応のDVDドライブに160GバイトのHDDを組み合わせたDVD+HDDハイブリッドレコーダー。春モデルの登場でハイブリッドレコーダーはラインナップは「DMR-E85H」「DMR-E95H」「DMR-E200H」の3モデルとなるが、価格からいえば一番の売れ筋となりそうだ。

photo デザインは従来モデルのそれを継承。前モデルに相当する「DMR-E80H」と比較すると、奥行きが274mmと26mm短くなった。なお上位機種となる「DMR-E95H」は291mmと奥行きが少し長くなる
photo 右側のカバー内にはAV入力
photo 左側には基本操作が一通り行えるボタンを備える。HDDとDVDの切り換えもできる。
photo ディスクをイメージした表示がなくなったディスプレイ部。一方、利用中のメディア(HDDもしくはDVD)を示すインジケータは、ディスプレイ部の左右にも装備しており、遠目にもわかりやすい

 DIGAシリーズは製品数の増大と共に、世代交代を一斉にではなく分けて行うようになった。このためDVD+HDDハイブリッドレコーダーでは内容的に「HS1/HS2/E90H」が第1世代、「E80H/E100H/E200H」が第2世代、「E85H」と「E95H」が第3世代と位置付けられる(もっともDIGAのブランドネームを冠したのはE80H/E90Hあたりからだが)。

 ちなみに、E90HとE80Hはほぼ同時に投入されているが、E90Hは明らかにHS2の焼き直し(HDDの大容量化、カードスロット追加、とデザイン変更)だし、E80HとE100H/E200Hは発売時期もDVD書き込み速度も異なるが、DVD-Rへの高速ダビングを実現したという点は共通で、基本機能もほぼ同じだ。

 第3世代となったDMR-E85Hの特徴は、さらなる高画質録画と長時間録画を実現したことだ。“NewDIGAエンジン”と呼ぶ高画質回路では可変ビットレート録画時のビットレート配分が改良され、シーンに応じてさらに適切はビットレートの割り当てを行うようになった。これに再生時やダビング時のDNR(デジタルノイズリダクション)が組み合わされ、NewDIGAエンジンを構成している。

 長時間録画モードであるEPには、従来の6時間モード(DVD片面あたり)にくわえて8時間録画が可能な新モードが加わった。EP8時間モードでは平均ビットレートは1Mbps程度とVideo CDレベルになってしまうが、もともとVideo CDより圧縮効率の良いMPEG-2であること、先に取り上げたNewDIGAエンジンの効果で実用的な録画品質を実現したということになる。

photo EP8時間モードと6時間モードは排他利用。初期設定で切り換える必要がある。160GバイトのHDDを搭載した「DRM-E85H」では8時間モードを多用する必要はないとも思うが

 DVDへのダビングは、DVD-Rへ最大32倍速、DVD-RAMで最大24倍速となった。ただ、これには数字のマジックも含まれており、DVD-Rへの書き込み速度自体は最大4倍速とE100H/E200Hと変わっていない。ディスク消費量がより少ない(コピーするファイルのサイズが小さい)EP8時間モードが追加されたため、相対的に最高ダビング速度が向上したというわけだ。

 ただ、DVD-RAMへのダビング速度は物理的にも向上しており、ドライブ単体性能表記では最大3倍速をサポートしている。EP8時間モードで録画した番組は最大24倍速でのダビングが可能になっており、EP6時間モードで録画した番組も最大18倍速と、従来のDIGAシリーズと比較すると1.5倍の高速化だ。地上波デジタル放送など、今後増えてくるコピーワンス番組をHDDに録画するときは、DVD-Rへのダビングは行えないため(DVD-RはCPRM非対応、DVD-RAMへの“ムーブ”のみ)、DVD-RAM高速化の意味は大きいだろう。

 なお、DVD-RAMもDVD-R同様書き込み速度に応じたメディアが必要となる。3倍速に対応していないDVD-RAMメディアを用いた場合は、従来製品と同じダビング速度になる点にも注意したい。

photo トレイはカートリッジ付きでもベアメディアでも載せやすいタイプ
photo 背面には2系統ずつのAV入出力、光デジタル出力、D1/D2出力などを備える

普及価格帯では初のEPG対応

 長時間録画や高画質化より注目したいのは、EPGへの対応だ。同価格帯にある東芝「RD-XS41」もEPGの利用は可能だが、PCとネットワーク接続し、PCから操作する場合に限定される。概ね10万円を切る普及価格帯の製品が単体でEPGに対応したのは同社製品では初となる。

 EPGは、地上波データ放送を利用した「G-GUIDE」。TBSをキー局とし、系列局で1日数回配信される。1度でだいたい1週間先までの番組表が配信される。基本的な機能は、ハイエンドモデルになる「DMR-E200H」と同じものだ。

 EPGは4時間、3チャンネル分が同時に表示され、ビデオレコーダー単体で利用できるEPGとしては情報量は多いタイプだ。同時に左上に放送中のテレビ番組も表示されるので、テレビをみながら録画したい番組を探すこともできる。ただ、録画予約の詳細設定画面に切り替わった瞬間にテレビ番組が見えなくなってしまうのはちょっと残念だ。

 

 一覧表示では、1時間あたり2段しか表示ができない。このため30分番組などは番組名が大幅に省略されてしまうのだが、カーソルを合わせた番組は上部に詳細が表示される。左右キーでチャンネル、上下キーで時間帯を移動し、決定キーで選ぶだけという非常にわかりやすいユーザーインタフェースだ。

photo EPGは、局ごと縦にならんだ番組表の一部を覗き込むようなイメージ。30分番組では5文字しか番組名が表示できないが、カーソルを移動すると上部に詳細な情報が表示される。1局ずつしか表示できないタイプよりはずっと良い
photo 番組表から番組を選択すると、通常の番組予約画面に切り替わり、録画先や録画モードを指定。もちろん時間などの変更もできるため、ナイターの延長などを意識した録画予約も行える。もちろんタイトル名は自動設定

操作性は大きく改善

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