転送ツールの類は必要なく、USB接続してマスストレージクラスで認識させ、エクスプローラなどでコピーを行えばいい。ファイルのデータベース構築や暗号化はされないので、15Gバイト程度の音楽ファイルをUSB2.0経由でHDD側へコピーしても23分ほどしかかからなかった。本体側で閲覧する際には、HDDとCFを切り替え、各々のディレクトリ構造をそのまま表示、選択していくことになる。
対応する動画形式は、AVI(映像:MPEG-4、音声:MP3)の場合、QVGAサイズ、最大フレームレート25fps、最大転送レート800Kbpsで、ASF(映像:MPEG4、音声:G.726)の場合は、SIF(352×240ピクセル)、QCIF(176×144ピクセル)サイズ、最大フレームレート30fps、最大転送レート約1.5Mbpsとなる。
この製品を利用したいと考える購入層には、手持ちのDivXファイルなどの動画ファイルを、レート変換の手間なしにそのまま再生させたいという人も多いだろうが、このスペックではややきついかもしれない。製品版にはUlead Video ToolBoxも添付されるとのことだが、この製品では、どうも本体での録画をメインと考えたほうがよさそうだ。ただし、録画ファイル形式はASFのみとなる。SIFサイズで25fps、QCIFで30fpsでの記録が可能だ。
今回試用した貸出機は製品版ではないせいか、動作が不安定になりがちであまり突っ込んで使えなかったのだが、全体に最も気になったのは音声の品質である。どうも音が浮いているのだ。期待の度合いの差から、動画を楽しむ分にはそれほど気にならないが、音楽再生時にはことさら明確に感じとってしまう。
そのため、音楽プレーヤーとしての機能をメインに考え、動画再生も“たまに”という人には、この製品は向かないといわざるをえない。音楽再生はあくまでオマケ程度に捉えたほうがいいだろう。また、PC側で作成したAVIファイルならステレオ音声だが、本体録画したASFはモノラル音声となる。
システムトークスの直販では、本体が3万4800円、ハードディスクユニットが2万1000円(いずれも税込み)という価格で、合計すると5万5800円。しかし、この構成では、冒頭で述べたソニーのHMP-A1の6万円程度という価格と比較すると、かなり厳しいのは事実だろう。
もちろん、この製品には単体録画という優位点はある。ただ、録画方式が1.5MbpsのASFのみで、しかも音楽もおまけと捉えると、ハードディスクユニットはあまり必要ないかもしれない。そもそも、いくら多くのビデオを持ち歩いても、バッテリー駆動時間が2時間程度では意味がない(HDD使用の場合。CFからの再生なら約2時間50分)。よって、本体のみを購入し、512Mバイト程度のCFに単体録画して、ニュースやバラエティ番組をモバイル視聴するというのが、価格と機能、あるいは本体サイズとのバランスがとれる利用法ではなかろうか。
SIFサイズで録画した場合、最高画質=1439Kbps、高画質=1065Kbps、標準=718Kbps、長時間=599Kbpsとなるので、512Mのメモリに最高画質でも45分程度、高画質であれば1時間の録画が可能である。本体で録画したファイルは、PC上で見ると最高画質以外は粗い印象を受けるが、USB2-MVAの内蔵画面での視聴では高画質、または標準でもかまわない感じだ。時間予約録画のほか、連動録画(外部機器などからの信号入力に反応して録画を開始する)にも対応している。
また、CF(あるいはCFアダプタをつけた、ほかのメモリ)からHDDへのコピーは可能なので、ハードディスクユニットもまったく無意味なわけではない。デジタルカメラの外部ストレージとしての使い道もあるだろう。
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