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五輪観戦もナイトシアターも“高音質コードレス”――オーテク「ATH-DCL3000」レビュー:コードレスサラウンドヘッドフォン小特集(2/2 ページ)

» 2004年07月16日 17時46分 公開
[西坂真人,ITmedia]
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オリンピック観戦には欠かせないAAC対応

 サラウンド機能はドルビーデジタル/ドルビープロロジックII/DTSの各デコーダーを内蔵しているほか、デジタル放送のMPEG-2 AACもサポートしており、地上/BSデジタルの5.1chサラウンド放送も楽しむことができる。

 開催まで一カ月を切ったアテネオリンピックは、美しいハイビジョン映像とともにサラウンド放送も魅力の1つとなっている。人気種目がのきなみ深夜枠となる今回のオリンピックでは、臨場感溢れるサラウンドもボリュームを絞って聴かなければいけない。ATH-DCL3000があれば、近隣住民や家族への騒音を心配せずに大音量で迫力ある音響を楽しめるのだ。

 トランスミッター本体の背面には光デジタル入力端子が2系統とアナログ入力端子1系統を装備しており、セレクター的な使い方もできる。また光デジタルの入力信号をそのままスルーする光デジタル出力端子も備えているので、AVアンプとの併用も可能だ。

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 BSデジタル放送のAAC5.1chサラウンド放送をいくつか視聴してみたが、圧倒的な臨場感や音の移動といったサラウンド効果は申し分ない。

 特に気に入ったのがドルビーヘッドフォンの効果だ。

 パイオニア「SE-DIR800C」のレビューではそれほど明瞭に感じなかったドルビーヘッドフォン特有の“仮想スピーカーの存在感”が、ATH-DCL3000では目に見えて(実際は見えないのだが……)リアルに感じられた。

 試聴に選んだコンテンツは、BSデジタルで放映していた映画「007/ダイ・アナザー・デイ」。ピアース・ブロズナン扮するジェームズ・ボンドのセリフはセンタースピーカーの位置からしっかりと聞こえ、アクションシーンでは前から後へ右から左へとサウンドが駆けずり回り、映画館で観るようなホールの心地よい残響感が、ATH-DCL3000のドルビーヘッドフォンではしっかりと表現されていた。

 音圧が逃げてしまう開放型ヘッドフォンは低音の力強さに欠けるといわれるが、ATH-DCL3000は低音もしっかり聴くことができた。007シリーズで多い爆発シーンも、ひずみや音割れずに爆発音を表現できている。深夜の帰宅が多い筆者は、大音量でないと魅力が半減してしまうアクションモノを知らず知らずに避けていたが、ATH-DCL3000のレビュー期間中は積極的に迫力ある映画を観ている自分がいた。

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 ヘッドフォンの内蔵ニッケル水素充電池が充電器を使う点や、縦置きしかできないトランスミッター本体、安っぽいリモコンなど細かな不満点はあるものの、地上/BSデジタル放送のAAC5.1chまで対応したサラウンド機能をはじめ、本当にスピーカーがそこにあるようなリアルな仮想音響を作り出すドルビーヘッドフォン機能、長時間の映画試聴には欠かせない軽快な装着感など、さすが“オーテク”と思わずうなる製品に仕上がっている。

 騒音を気にしながら5.1chホームシアターシステムを小音量で鳴らしてネズミ花火のような爆発音を聴くよりも、ATH-DCL3000のヘッドフォンサウンドははるかに迫力があって楽しい。しかもコードレスサラウンドシステムは、どんな体勢になってもベストのリスニングポジションだ。シアターシステムとAVアンプを購入することを考えれば、8万円強の価格も決して高い買い物ではないと感じた。

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