再生時のノイズリダクションは「3D NR」「モスキートNR」「ブロックNR」の3つがON/OFF可能。「モスキートNR」はかなり強力で、MN1.4、MN1.0で録画した番組ではかなりモスキートノイズを軽減してくれるが、全体にソフトフォーカスになり大幅に情報量が欠落する。LPモードやSPモードでも影響は大きいので、くっきりとした画質が好みの人は利用しないほうが良さそうだ。
RD-XS53は「W録」「スカパー!連動」といった分かり易い魅力をもった多機能製品。他社の普及モデルより確実に高価ではあるが、概ね2台分の機能を包括している事を考慮すれば決して割高とはいえない。「W録」もマニア向けという印象もあるだろうが、AV機器の設置にそれほどスペースを避けないため1台で多くを済ませたい一般層向けの感もある。
もっとも従来の東芝製品がそうであったように、マニアックな使いこなしはできる製品であることも間違いない。既に触れた細かな録画モード(ビットレート)設定はもちろん、地上波チューナー、BSチューナー、各ライン入力毎に画質設定が行えるなど、極めてマニアックな設定も可能だ。
DVDビデオ作成時にはチャプターまでの階層メニュー化ができたり、最初にメニューを表示するか先頭の番組を再生開始するかといった細かな設定も行える。フレーム単位の編集機能を備えつつ、きちんとMPEG2の管理単位となるGOPにも配慮した機能も備える点は大いに評価すべきだろう。
また従来モデルからの機能という事で今回は割愛したが、PCから様々な設定や操作が行える「ネットdeナビ」も非常に便利に使える。DEPGよりさらに一覧性にまさるiEPGも使えるし、一般的な使い方ではないだろうが「SoftEther」などを用いて外出先から自宅にLANに接続し、「ネットdeナビ」でRD-XS53を直接操作して録画予約を行うと言った事も可能だ。携帯電話からEメールで録画予約が行える数少ない製品でもある。
従来モデルではキー配置が独特だったリモコンも、RD-XS33/43と共に2004年夏モデルから大幅にデザイン変更された。従来は4方向キーが項目移動、項目内容変更はフレームボタンと言う独特の操作性であったが、他社製品同様基本的には4方向キーだけで項目移動、内容変更が可能になっている。一部従来の操作性を引きずっている部分もあるが、使い勝手はより直感的になり、他社製品からの買い替えや買い増しでも操作に迷いが少なくなったのは事実だろう。
半面、利用していて不安に感じたのは、やはり機械的に詰め込みすぎの感がある事だ。発熱はかなり大きいようで、連続して録画、再生を行った後など熱の影響かブランクDVDメディアをうまく認識しないといった症状が見られた。もちろん国内メジャーメーカーのDVD-Rメディアでだ。しばらく電源を切っておくと問題なく認識されるので、DVDドライブが内部の発熱の影響を受けている可能性は大きい。
RD-XS53は320GBのHDDを内蔵しているが市場には320GBというHDDは見当たらない。おそらく160GB HDDを2台内蔵しており(RD-X3でも80GB HDDを2台内蔵していた)、これに発熱の大きなMPEG-2エンコーダーが2つ分内蔵されている。これがブックPCよりちょっと大きめ程度の容積に詰め込まれているのだから、発熱が大きくても不思議ではない。設置には排熱もある程度配慮したほうが良さそうだ。
RD-XS53は良くも悪くも東芝らしい多機能な製品。もちろん普通の人が普通に使いこなす事も十分できるし、ぐっとマニアックな使いこなしもできる。アテネオリンピックに向けて、という意味では「W録」はオリンピック番組も普段見ている番組も録り逃さないという意味で魅力的だろうし、スカパー!連動機能は文句なしに便利だ。後は予算が許すかどうかという事になるが、機能や320GBというHDD容量まで考慮すればコストパフォーマンスは決して悪くないだろう。
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