コラム
» 2004年09月29日 19時50分 UPDATE

「DVD-RへのVRモード記録」が普及すると考える理由 (1/3)

DVD-VR形式の記録されたDVD-Rメディアは、現状では事実上、自己録再に近い。だが、ユーザーの利便性などを考えると、今後のHDD/DVDレコーダーにおいて、標準搭載機能になる可能性が高いのではないだろうか。

[北川達也,ITmedia]

 東芝が新型のHDD/DVDレコーダーに、DVD-Rに対してDVD-VR(VRモード)で記録できる録画モードを新たに搭載した(東芝担当者のインタビュー)。また、メディアメーカーもこの製品が発表されることを受け、国内では22日に太陽誘電がCPRM対応のDVD-Rメディア発売を発表。日立マクセルも東芝の発表に合わせて9月28日に同様のCPRM対応DVD-Rメディアを発表した。メディアの発売時期はいずれも11月と予定されており、実売価格は、現状のDVD-Rメディアより少し高い250円前後と予想されている。

 対応する機器とメディアが発表され、いよいよ本格サポートが始まるDVD-RへのVRモード記録について、ここでは、業界動向などを交えて解説しよう。

DVD-VR規格――その策定背景と歴史

 まず、DVD-RへのDVD-VR記録について、少々歴史的な説明をしておく必要があるだろう。

 DVD-RへのDVD-VR記録は、何も、降ってわいたような新しい記録フォーマットではないからだ。もともと、DVD-VR規格(通称、VRモード)では、規格上、当初からDVD-R/RW/RAMの3種類のメディアで使用できた。ところが、これまでDVD-Rだけがサポートされてこなかった“だけ”なのである(*1)。

 DVD-Rでは現在、市販のDVD-Videoとの互換性がある「Videoモード」で記録できることは多くの方がご存知だろう。しかしDVDレコーダー用の録画モードとして考えたとき、本来存在していたのはVRモードであり、DVDレコーダー用の録画モードとしての「Vidoeモード」は、後から作られた“規格”とさえ言えるのである。

 このため、初期のDVDレコーダーでは、DVD-Rは利用できなかった。というのも、DVDレコーダーは現在のようなHDD内蔵が一般的ではなく、メディアに対してダイレクトに録画することからその歴史が始まったからだ。その時点でリアルタイム録画できる録画モードはVRモードだけであり、DVD-Rに記録できるようになるのは、2世代目以降の製品からである。

 DVD-RでVRモードがサポートされなかったのには、もちろん、いくつかの理由があった。メディアにダイレクトに記録するなら、何度も書き換えができるメディアのほうが便利だったこと、DVD-Rが元来、オーサリング用途を想定していたことに加え、ハードメーカー側の戦略上の事情などがあったことなどである。

 一方、現在のHDD/DVDレコーダーでDVD-Rを記録するときに一般的に使用される“Videoモード”は、そのままでは、リアルタイム録画に使用できなかった。これにはちょっと説明が必要だろう。

 Videoモードは、市販のDVD-Videoとほぼ同等の形式で記録する方法だ。この方法は、まず、記録したい映像がすべて準備されていることを前提に考えられており、再生に使用するメニューに関する情報や早送り/巻き戻しなどの特殊再生に使用する情報などを作成する必要がある。

 例えば、特殊再生を行うときの情報は、早送り/巻き戻しをスムーズに行うために最大120秒の過去と未来の情報を記録しなければならない。しかし、リアルタイム記録では、過去の情報は準備できても、未来の情報を“推測”して準備することなどできるわけがない。

 このため、各社は、大容量のバッファを搭載するなどして、前述の問題に対処している。また、DVDレコーダーで使用されているVideoモードは、DVD-Video規格からみると、厳密には多少、規格を“逸脱”している部分がある。リアルタイム記録でも使用できるように、VideoモードではDVD-Videoの制限を緩和しているのである。

 対して、VRモードは、元々DVD-Video(Videoモード)の制限を外し、リアルタイム記録用に開発されたものだ。Videoモードでは、解像度の変更や音声ストリームの変更を行うと、別タイトルにしなければならないという制限があるが、VRモードには、そのような制限はない。自由な編集機能や二カ国語放送の対応、記録中の解像度の変更なども行える。


*1 ちなみに、DVD規格は、DVD-RへのVRモード記録のように規格では認められつつも、製品に反映されていないというのが、他に三つほどある。一つはDVD-RAMのVideoモード記録だ。これも、規格としては認められているが、現在のところサポートした機器はない。
 残る二つは、DVD-SRとDVD-ARという規格だ。前者はデジタル放送などのストリーム記録用に用意された録画方式。後者は、VRモードのオーディオバージョンともいえるものだ。いずれも、規格はあるが、対応製品は、発売されてない。

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