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» 2004年10月29日 16時22分 UPDATE

劇場がある暮らし――Theater Style麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」 〜秋のプロジェクター編〜 (1/4)

“業界のご意見番”こと麻倉怜士氏の月イチ連載がスタート。麻倉氏のAV製品チェックノート「閻魔帳」から、最新のAV製品情報やインプレッションなどを聞き出す。第1回のテーマは「ホームシアター派に贈る“秋のプロジェクター”」。

[西坂真人,ITmedia]

 AV製品に対する独自の鋭い視点、最先端技術やデバイスに対する豊富な知識、そしてメーカー相手でも歯に衣着せぬ発言を連発する“画質の鬼”といえば、デジタルメディア評論家「麻倉怜士」氏だ。

photo デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏

 ITmedia LifeStyleでもCEATECの「コピーワンス不要論」や、「プラズマ/液晶は“これからのテレビ”に相応しいか」という問題提起など、麻倉氏の発言を取り上げた記事が数多くの読者から反響を呼び、それは膨大なページビューというカタチとなって表れた。「“これからのテレビ”」を説いた後者の記事では、キヤノン/東芝からSEDが発表される2カ月も前からFEDの将来性を予言するなど、同氏の先見性が光る。

 またDVDについては1990年代後半に「DVD――12センチギガメディアの野望」(オーム社)、「DVD-RAM革命」(同)、「DVD-RWのすべて」(同)の三冊を著し、DVDの大普及を予言。さらにはプレイステーションの成功の秘密を、久多良木健氏に密着インタビューして明かした「ソニーの革命児たち」(IDGジャパン、現在はワック出版の「久夛良木健のプレステ革命」に収載)が、アメリカ、中国、韓国、ポーランドで翻訳出版されるなど、国際的にも知名度が高い。画質、音質評価の世界では、同氏の指導を仰がなかったメーカーは1社もないというほどの、リファレンス的存在になっている。

 この麻倉氏、発表会・展示会・内覧会を足しげく訪れて、AV製品の特徴をあらゆる観点でチェックしてノートに書き留めている。メーカー担当者が恐れるこのノートは、同氏いわく「AV製品の“閻魔帳”」。

 

 ITmedia LifeStyleでは“業界のご意見番”こと麻倉氏の「閻魔帳」をこっそりのぞかせてもらい、読者に役立つ最新のAV製品情報、同氏の独自の分析、インプレッションなどを聞き出す『麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」』を月イチ連載でスタートする。

 第1回のテーマは、「ホームシアター派に贈る“秋のプロジェクター”」。

 720pハイビジョン表示に対応した人気の「20万円台クラスの液晶プロジェクター」計4機種(三洋「LP-Z3」松下「TH-AE700」エプソン「EMP-TW200H」日立「PJ-TX100J」)を、麻倉氏の鋭い視点で語ってもらった。


――まず、ホームシアター向けプロジェクターの今年の傾向を教えてください。

麻倉氏 : 今年は、3つのトレンドがあります。第1が「720p液晶パネルの成熟化と液晶プロジェクターの飛躍」。これまでハイビジョン分野ではDLPが中心だったのが、コストパフォーマンスと画質で液晶陣営が勢力を伸ばしてきました。第2のトレンドは「DLP採用機の低価格化」。液晶の攻勢に対してDLP陣営がハイエンドだけでなくミドルから下あたりのゾーンに進出してきたことですね。第3はSXRDやD-ILAにみられる「フルハイビジョン化」。シアターマニアの願望であった本格ホームシアター化の流れがはっきりと見えてきました。これらトレンドの中でも最大の潮流は、液晶プロジェクターの性能・画質が飛躍的に向上している点です

photo

――数年前までの流れは、「DLP=ホームシアター」「液晶=データプロジェクター」という図式でしたよね。

麻倉氏 : これまではコントラストで有利なDLPがその特徴を生かすカタチで、アプリケーションとしてホームシアターを推進し、劇場でのDLPシネマなどで“映画を観るならDLP”を打ち出していました。一方、輝度で勝負する液晶は、明るい場所でのプレゼンテーションが中心となる業務用で地位を築きましたが、ホームシアターに対する取り組みで出遅れたことは否めませんね。

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