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デジタル伝送のコードレスヘッドフォン普及版――ソニーらしさ光る「MDR-DS4000」レビュー:コードレスサラウンドヘッドフォン特集(1/3 ページ)

» 2004年11月09日 00時00分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 DVDやデジタル放送の普及で、マルチチャンネルのサラウンド環境が以前よりずっと身近なものになった。LifeStyleでは“夜型AVライフ”のユーザーに必携のアイテムとして今年7月にコードレスサラウンドヘッドフォン特集を行って各社の最新3機種を紹介した。

 9月に催されたオーディオ・ビジュアルの展示会「A&Vフェスタ2004」では、コードレスサラウンドヘッドフォンの新製品が各社から登場した。その中から、今週発売予定のソニー「MDR-DS4000」を発売に先駆けて紹介する。

photo ソニーのコードレスサラウンドヘッドフォン「MDR-DS4000」

 MDR-DS4000は、昨年9月に発売したMDR-DS3000の上位モデル。実売で2万円を切る普及価格のMDR-DS3000は、量販店などでコードレスサラウンドヘッドフォンの売れ筋トップにもなっている人気商品で、筆者も深夜のシアター鑑賞などで愛用している一品だ。

 ただしMDR-DS3000は、無線伝送システムにアナログ方式の赤外線伝送を採用しており、クリアな音質を求めるユーザーには不満の残るものだった。

 MDR-DS4000は、無線伝送にノイズの影響が少ないデジタル方式の赤外線伝送を採用。同社では2001年に発表したMDR-DS8000以来、約3年ぶりのデジタル赤外線伝送モデルとなる。発売当初は7万円前後したMDR-DS8000も現在は実売4万5000円前後とこなれてきたが、新製品のMDR-DS4000は実売で3万円前後とさらに求めやすくなっている。

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 アナログ方式ではボリュームを高めにしたときにヒスノイズ(サーという雑音)が目立つという問題が指摘される。MDR-DS3000でも最大に近い音量(ボリューム目盛りを8以上にした時)で、気になるヒスノイズが発生していた。

 デジタル赤外線伝送方式のMDR-DS4000は最大音量にしても雑音が皆無になったほか、音質もMDR-DS3000と比べるとベールを一枚はがしたようなクリアな印象を受けた。そのため必要以上に音量を上げなくても、サウンドを楽しめるというメリットもある。音質のクリア感が少ないため大音量にしがちで、ゆえにノイズ発生を引き起こすという悪循環のMDR-DS3000とは対照的だ。

photo ボリュームはヘッドフォンのハウジング部右側に用意。リモコンなどを使用せずに、ダイレクトに音量を調節できるので便利

 また、トランスミッター部の赤外線LEDが計20個も装備されているためか、部屋の中ならほぼどの位置でも音声が届くようになった。MDR-DS3000はLEDが4個しか装備されていなかったため、アタマの向きを大きく変えた時や席を立った時などに音声が途切れるケースがあったのでこの改良点は大いに評価したい。

photo トランスミッター部には赤外線LEDが計20個装備

 本体裏側には光デジタル入力端子とアナログ入力端子を各1系統ずつ装備。光デジタル入力にDVDプレーヤーやデジタル放送チューナー、アナログ入力にテレビやオーディオ機器を接続するといった使い方ができる。

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 ユニークなのは光デジタル入力をそのままスルーする「光スルー出力端子」も装備している点。DVDプレーヤー/AVアンプなど光出力を利用する機器への配線の間に、コードレスヘッドフォンを挟んで利用できる。光デジタルの入出力端子が少ない機器でインタフェースを有効活用できるのは便利だ。

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 音声入力切り替えはトランスミッター左側のINPUT SELECTスイッチで行う。後述する「EFFECT」や「COMPRESSION」といった機能の切り替えスイッチもこの左側に集中しており、いずれのスイッチもトランスミッター本体に対して縦方向に付いている。そのため、スライドするときに軽量なトランスミッターまで持ち上がってしまうのが難点で、右手でトランスミッターを押さえつつ切り替えるという操作に少々使いづらさを感じた。

photo 左側に集中したスイッチはトランスミッターに対して縦方向に付いているので操作しづらい
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