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「パソコン通信」終了にみる世代間格差LifeStyle Weekly Access Top10

» 2005年02月26日 04時12分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 ニフティが2006年3月末でパソコン通信サービス「NIFTY-Serve」を終了すると発表した日、News編集部のS編集長がふらりとやってきて、唐突に「パソコン通信、やってたよね」と尋ねた。戸惑いつつ、「もちろん」と答えると、あからさまな安堵の溜め息。どうやら、若い社員(*1)に「パソコン通信って、インターネットとどう違うんですか?」などと聞かれ、ジェネレーションギャップを飛び越えて、寂しくなってしまったらしい(*2)。

 会社の性格上、社員のパソコン経験は平均的に長いし、過去には仕事の上でもパソコン通信が必須アイテムだった。しかし、それは10年近く前の話(*3)。1990年代後半には、社外との通信手段を含めてインターネットに切り替わっていたから、パソコン通信に馴染みの薄い人が増えてきたのも道理だ。

 同僚達に聞いて回ったところ、およそ30歳を境にして、「バリバリ経験者」と「そうではない層」に分かれることが判明した。20代の場合は、「中高生のころ趣味でやっていた」とか、「大学の研究室で使っていた」という例を除き、ほとんどはインターネットが“通信デビュー”だ(*4)。中には、「パソコン通信なんて知らない」と言い張る“妙齢”の女性もいたが、ここは「NIFTY-Serve」に敬意を表して、あえてツッコまないでおく(*5)。


 「NIFTY-Serve」は、1987年4月に運営を開始した。当初の会員数はおよそ3000、アクセスポイントは8カ所しかなかったが、1995年にはNECの「PC-VAN」を抜いて国内最大となり、300万人近い会員数を誇った。インターネットが台頭してきた1996年、自らもインターネット接続サービスを開始し、徐々にシフトを始める。そして2006年3月末、「ワープロ・パソコンサービス」を終了する――。

 余談だが、筆者が「NIFTY-Serve」に入会した当時、ログインIDは“3文字のアルファベット+5桁の数字”という形式で、意外と憶えやすかった。パソコン通信から離れ、何年か経っても忘れていなかったため、去年「HOTSPOT」(公衆無線LANサービス)を申し込んだとき、そのIDを自分のログインIDに設定した。

 だから、今でも毎日のように、コーヒーショップで「NIFTY-Serve」のIDを入力している。「GO」コマンドはないけれど……。


*1 誰だ?

*2 オフィスを横断してまで経験者(=仲間)を探しにくるあたり、相当のダメージを受けたものと思われる

*3 ソフトバンクが出版社だった頃(あれ?)

*4 ちなみに、30代半ば以上になると、デフォルトで「アマチュア無線が通信デビュー」になる

*5 あなたの「Macintosh II ci」と、同じくらい古いモデムは、一体何に使っていたのですか? って、結局ツッコんでるし

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