東芝は2月16日、DVDドライブを搭載しないHDDレコーダー「RD-H1」を発表した。ハイブリッド型全盛の時代にHDD単体レコーダーを投入するのも異色だが、250GバイトのHDDを搭載して3万円台前半という価格設定も戦略的。今回は“テストマーケティング”的な位置付けとなり、4月上旬から同社の直販サイト「shop 1048」で限定販売する予定だ。
シルバーのボディは、厚さ58ミリの薄型タイプ。中央に再生時間などを表示するディスプレイがあり、その横には「再生」「停止」「録画」「一時停止」という基本操作ボタンだけが並んでいる。前面端子がないため、外部入力は2系統となるが、D1/D2出力や光音声出力など必要なインタフェースは一通り揃えた。
そのほかの機能は、DVDに関連する部分を除き、昨年末に発売されたRDシリーズを踏襲している。「ネット de ナビ」や「ネット de ダビング」はもちろん、iNETとADAMSを利用できる“WEPG”、録画番組をネットワーク接続したパソコンから視聴できる「ネット de モニター」、メール予約などの機能はそのまま。なお、「RD-XV34/44」に追加された「野球・ドラマ延長対応」機能は搭載していないが、理由は「RD-Z1」の場合と同じく「開発タイミングの違い」という。
もともと、DVDレコーダーにHDDを搭載し、“ハイブリッド”への流れを作ったのは東芝だ。その同社が、今になってHDD単体レコーダーを投入する理由は何か。東芝デジタルAV事業部DAV商品企画部の片岡秀夫参事は、「決して“思いつき”の製品ではない。RD-XS53に搭載した“ネット de ダビング”が伏線だった」と話す。
「HDD単体レコーダーは、録画番組をDVDメディアに保存できないのが最大のネックだ。しかし、ネットワーク機能を持つRD-H1なら、別のRDにダビングできる。コピーネバーの番組に限るものの、ネットワークを介してHDDもしくはDVD-RAMへの直接ダビングが可能だ」(片岡氏)。
ヘビーユーザーの多くが悩まされているHDD容量不足。しかしパソコンと異なり、DVDレコーダーのHDDを換装したり、増設したりといった対処は不可能だ。このため、ネットワーク経由で録画番組をダビングできる「ネット de ダビング」が登場して以来、RDユーザーの“買い増し需要”が増えているとも言われる。
その点、RD-H1なら、容量が不足したときの“一時退避先”として利用できるほか、2番目、3番目のチューナーとして、あるいはメイン録画機とは別の部屋に設置して“ネットワーククライアント”的な使い方も可能になる。松下「DMR-E500H」のようなレコーダー間のストリーミング再生には対応していないが、「たとえば見たい番組を夜中に一括ダビングしておけばいい。RD間のダビング操作は、パソコンから『ネット de ナビ』で行うこともできる」。
一方、東芝は、DVDにあまり保存しない「見たら消す」ユーザー層に対しても、低価格なタイムシフト機として訴求する方針だ。
「第1のターゲットは、RDの“追加HDD”が欲しい層。第2のターゲットは、VHSをタイムシフトにしか使っていない女性層だ。もちろん、後でDVDメディアに保存したくなったら、DVD付きのRDを買い足せばいい」(片岡氏)。
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