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プロジェクター使いこなし〜スクリーン/投影サイズ/明るさの微妙な関係劇場がある暮らし――Theater Style(2/3 ページ)

» 2005年03月05日 02時32分 公開
[本田雅一,ITmedia]

同じプロジェクターでも輝度で印象が変化

 たとえばあるプロジェクターが500ルーメンの光束で投影できるとしよう。これを100インチに投影した時と120インチに投影した時では、投影しなければならない面積は40%も増え、照度は28.5%低下する。画面の輝度(つまりスクリーンを見た時に感じる明るさ)は、照度とスクリーンゲインによって決まる。

 コントラスト比が限られている液晶プロジェクターなどの場合、これらの組み合わせを調節し、もっとも見栄えの良い明るさとなるように配慮する必要がある。

 たとえばコントラスト比1000:1のプロジェクターの場合、明るいプロジェクター、暗いプロジェクター、いずれの場合でも見た目のコントラストは変わらない。人間の目は明るさを周りとの比較で判別するため、全体が均一に暗くなってもコントラスト比に変化はないからだ。

 しかし、リビングシアターなどでは外の光が入ったり、何らかのLEDなど外光からの影響は避けられない。外光や迷光による影響が一定ならば、輝度が高いほど、受ける影響は小さくなる。このため、専用シアターのように部屋を十分に暗くできない部屋では、それなりに明るさが必要だろう。

 輝度をユーザーがコントロールできる要素は、スクリーンサイズ、スクリーンゲイン、プロジェクター光量、それに(機能が存在するなら)アイリス調整、ランプ光量など。その組み合わせで最適値を選ぶが、いくつか基本的なセオリーがある。

・スクリーンサイズを欲張らない

 同じプロジェクターでも、大きな画面で投影するほど輝度は落ちてしまう。アイリスを細かく微調整できるならば、絞りを開けることで輝度を確保する事もできるが、やはりプロジェクターごとに「ここまでは画質がいい」というスイートスポットがある。

 おおむね100インチ程度までならば、ゲイン0.9前後のホワイトマット系でもほとんど問題ないだけのパワーを最近のプロジェクターは備えているが、それでも100インチと80インチではかなり印象が違うだろう。なお、中には絞りを任意に調整できないものもある。

 たとえばソニー「VPL-HS50」はゲイン1.0程度のスクリーンと組み合わせた場合、100インチまでならば20万円クラスの製品とは一線を画すだけの画質があるように見えたが、ランプモード低と120インチスクリーンの組み合わせでは目に見えて絵の質感が落ちる(ランプモードを高にすればいいが、その場合は騒音レベルが高くなる)。

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・アイリスは絞ればいいわけではない

 上記スクリーンサイズとの兼ね合いだが、大きな画面に投影せざるを得ずピーク輝度を確保できない場合は、アイリスを調整してちょうど良い明るさを確保する。アイリスは絞るほどコントラストが上がり、画質が良くなるとされている。しかし、全体が暗く、力感のない表現になっては意味がない。むしろ最小絞りよりも開けた方がよく見える場合もある。三洋電機の「LP-Z2」「LP-Z3」では絞りで最終的な設置環境に合わせ込むのがいいだろう。

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