「着うたフルやiPodのヒットは音楽配信サービスにとっては歓迎すべきことだと思います。着うたフルといえばau、iPodといえばアップルですが、ひとつのサービスキャリア、ひとつのメーカーの製品が永遠に市場を独占し続けることはあり得ません」
「つまりようやく音楽配信サービスが普及する下地が整ってきたと思うのです。携帯電話で音楽を買うことやHDDを搭載したプレーヤーが爆発的に売れるなんてことは、数年前では考えられなかったことですから。ユーザーが“ネットで音楽を買う”という行為を選択肢のひとつとしてとらえてくれる土壌が醸成されたそのときに、OnGenがその選択肢のひとつに入っていればうれしいですね(笑)」
来るべき時に選択肢のひとつとして認知・認識されるため、下浦氏はOnGenについて「小売店」であるスタンスを保ち続けたいと語る。
「これから配信可能な楽曲数が増えれば、何万・何十万という楽曲がラインナップされることになります。そのなかでユーザーが求める1曲をどれだけ分かりやすくかつスムーズに手元へ届けられるかという“機能”と、サイトに来てくれたユーザーにいかに楽しんでもらえるかという“企画”、小売店としては欠かせないこの2つを突き詰めていきたいです」
「正直、まだまだ事業として解決すべき問題は少なくないですが(苦笑)、決して売り手主導にならないよう、自らを戒めなくてはと日々思っています。あとは、後発組ですからユーザーの意見に素早く反応するスピード感覚を大事にしていきたいですね」
最後にひとつ質問をしてみた。iTMSが米国での「すべて1曲99セント」のように、「すべて1曲100円」のような低価格化を打ち出して日本に登場した場合、OnGenとしては低価格化に追従できるのだろうか。ちなみにレーベルゲートの赤坂氏は「1曲99セントというような低価格戦略が良いとは考えていない」と見解を述べている。
「さすがに99セント(100円)のような低価格は難しいと思いますが……、同じ楽曲をある特定の販売サイトだけが低価格で販売するということは現実的ではないと考えます。もしiTMSが低価格化を打ち出してくれば、それは業界としての低価格化へつながると思います。また、レコード会社側でもいろいろと考えているようですから、今後、配信楽曲の平均価格が変動するということもあり得るのではないかと予想しています」
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