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ソニー、次のBD対応製品は「プレーヤー」

» 2005年05月30日 23時23分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 ソニーで光ディスク事業を担当する同社業務執行役員常務の西谷清氏は、次世代光ディスク統一への望みは捨てていないとしながらも、統一交渉がいったん決裂に至ったことを踏まえ、Blu-ray Disc事業を前へと進めていくと話した。

 統一交渉に関しては先週末に記事を掲載したが、その取材の中でBlu-ray Discのままで進む場合の事業計画についても西谷氏はコメント。このまま2つの規格が統一されずに進んだ場合、ソニーとしては来年早々にもBDプレーヤーを発売できるとの見込みを示した。

 西谷氏は「統一騒ぎはあったが、きちんとフォーマットの策定作業を行い、製品化を進めていく。もちろん、統一の門を閉じているわけではなく、話し合いはもう一度あるだろう。しかし、統一交渉が不調に終わった事を受けて、BDAに加盟しているメーカーはBD対応機器の製品化を再スタートさせている。ソニーも例外ではない」と述べる。

 BD対応機器として最初に登場するのは、BD-ROMの映像パッケージソフトを再生できるBDプレーヤーだ。ハイビジョン化されたBD-ROM映像ソフトの他、DVD、CD、SACDなどの再生にも対応すると見られる。BD-ROMのビデオフォーマットは、今年10月に最終仕様がまとまる予定にになっている。

「プレーヤー」になる理由

 次のBD対応機器がプレーヤーになる理由は2つある。

 BD-ROMのビデオフォーマットはJavaの実装やスクリプトベースでのインタラクティビティ向上など、広範に渡って既存DVDよりも複雑化している。既存DVDでは考えられなかった高いプログラマビリティを持つ。

 言い換えれば、それだけ複雑なソフトウェアを実行できる環境を、 BDビデオに対応したBD機器すべてが揃えなければならない。この開発とテストに大きな工数がかかるため、まずはBDプレーヤーを発売し、そこで開発したソフトウェアをベースに録画機に必要な機能部分を統合していくという道筋で開発と製品化を進めるのだ。

 また北米においては、HD映像パッケージ市場立ち上げの要求が強いという。北米での需要はプレーヤーが中心となるため、プレーヤーを優先しなければならないという事情もある。

 ソニーは2003年4月に、青紫レーザーダイオードを用いた初めてのBDレコーダー「BDZ-S77」を発売した。その後、昨年春の段階では2004年末にBD-ROMビデオ再生にも対応するBD/HDDハイブリッドレコーダーを発売する予定だったが、著作権保護規格の変更、新CODECの追加、インタラクティブ機能向上など仕様変更を余儀なくされる案件が次々と持ち上がり、なかなか製品化が行えない状況になっていた。BD-ROMビデオ再生機能のないレコーダー機能だけの製品を出荷するにはタイミングが遅いという理由もあり、BDZ-S77はBD現行製品として今も残っている。

 「これまで製品計画に関して口を濁して来たのは、統一交渉があった事が理由でした。しかし、BDの製品化を再スタートした今ならば話せます。次の製品はプレーヤー。年内の発売はありませんが、来年の早い段階で発売できるでしょう。録画機はその後になります」(西谷氏)

 この西谷氏の話からさらに類推すると、おそらく来年夏のボーナス商戦頃にはBDビデオの再生が可能なBDレコーダー2号機が登場しそうだ。

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