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シアター志向のしっとりした画質――松下「TH-26LX500」特集:夏ボで狙いたい液晶テレビ(3/3 ページ)

» 2005年06月17日 13時03分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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 画面サイズの変更は、リモコン上部に独立したボタンで装備するほか、デジタル放送でも豊富なアレンジが行える。地上波デジタル放送では、SD映像をアップコンバートして左右の黒帯付きで信号はHD(1125i)という番組もかなり多いので、とにかく画面一杯で視聴したいという人には便利だ。少なくとも1125iで送出されている地上波デジタル放送でも「セルフワイド」「ジャスト」「フル」「ズーム」への切り換えが可能であった。

photo 画質設定。独自の名称や専門用語などをできるだけ使わず、分かりやすい表記にしている。いかにも同社らしい部分の1つ

 また、チャンネル切り換えが素早いのも特徴だ。地上波アナログ放送ではほとんどタイムラグがないのはもちろん、地上波デジタルでもチャンネル切り換えに要する時間は2秒以下(手動計測で1.8〜1.9秒程度)で、今回同時比較した3製品ではもっとも高速。非常に重要なポイントとまではいわないが、たとえば店頭で操作した時に好印象を持つのは当然という感じもする。

 EPGは、地上波アナログ放送もサポートしているが、GガイドをBSデジタル放送波で受信するタイプだ。このためBSデジタル放送が受信できる環境でないと利用できない。GUIのデザインは放送波にかかわらず統一され、最大で9チャンネル5時間分を一覧できる。

photo 3チャンネル表示
photo 最大の9チャンネル表示。9チャンネル表示では1時間当たり3段のスペースが確保されており、番組名の識別にそれほど難は感じない。左側に広告用と思われるスペースが常に確保されているのがもったいないな、と思われる程度だ

PC接続は映像再生向け、PCとのDVI-HDMI接続も配慮

 PCとの接続手段は、D端子とHDMIになる。HDMIに関しては、AV入力3の音声入力をHDMI接続時の音声入力として利用することも可能。DVI-HDMI変換ケーブルの利用も配慮されているようだ。

 PCを接続したときの結果は、ビクター「LT-26LC60」と似ている。パネル解像度にもっとも近い解像度として利用できるのは1280×768ピクセルで、オーバースキャン気味だ。縦はパネル解像度に対してドット ツー ドットになるはずだが、実際にはそうならないため、ブラウザなどを利用すると細かい文字なども若干“つぶれ”を感じる。

 またDVDビデオの再生に関しては、やはりPCでのソフトウェアDVDプレーヤーを利用したほうがジャギーが目立たず、トータルの画質としても良好と思えた。地上波アナログ放送をMPEG2録画した映像も同様で、DVDレコーダーでD端子接続して再生するより、PCのほうが滑らかであった。テレビ録画をPCで行っているという人にとっては、映像再生のためにPC接続する意味は十分にありそうだ。

SDメモリカードへのMPEG4録画もサポート

 TH-26LX500は、前面にSDカードスロットを備えている。デジタルカメラで撮影した静止画の再生が可能なほか、SDメモリカードへのMPEG4録画機能を備えるのも特徴だ。録画したファイルはSD-VIDEOフォーマットに準拠しており、本製品のほか、同社の「D-Snap」、FOMAや一部のau端末などではそのまま再生できる。EPGからの予約にも対応しており、ケータイでビデオ再生を可能にする手段としてはもっとも手軽な方法だ。

photo SDメモリカードの専用メニューも準備され、リモコンから1ボタンで呼び出せる。視聴中の番組を即座に録画することも可能。常時SDメモリカードを装着しておけば、ちょっとしたメモ録画などに使えそうだ
photo SDカードスロットは前面に装備。周辺の処理もスマートで、デザインを壊していない

 またCPRMによるデジタル放送の録画にも対応できるのだが、今のところ再生可能な端末はLX500シリーズのみ。また録画解像度は最大でも320×240ピクセルのため、さすがに26インチ画面で再生したときの画質のは期待しないほうがいい。

 情報端末機能としては、ビクター「LT-26LC60」と同様に「Tナビ」をサポートした。専用コンテンツしか閲覧できないが、代わりにリモコン操作を前提したコンテンツなので操作性は良好だ。コンテンツ数も豊富に準備されており、ちょっとした調べ物のためのインターネット利用ならば手軽に使える。

photo 専用コンテンツとはいえ、ジャンルは豊富だ。コンテンツ自体もできるだけ文字入力を省略するようにカスタマイズされており、PCは苦手な人でも使えそう

価格も機能相応、デジタル放送を良く録画するという人に

 TH-26LX500は、2系統のデジタルチューナーを装備したことで、外部のDVDレコーダーなどでデジタル放送を録画しつつ、ほかのデジタル放送を視聴することができる。地上波も、デジタル放送を一度見てしまうとアナログ放送はみたくないと思う人が多いだろうから、デジタル放送の録画も考慮している人には便利だろう。この点で競合になるのは、ソニーの上位モデル「HVX」シリーズくらいか。

 もっとも、高機能なぶん価格も相応のレベルで、スタンダードモデルのLX50とは4万円前後の価格差がある。他社のスタンダードモデルとの価格差も似たようなもの。実際のところ、今回取り上げるとすれば「TH-26LX50」の方が適当だったかとも思うのだが、HDMIはともかくi.Link端子がなく、また高画質化回路が1世代古いということもあり、上位機のLX500をチョイスした。やはり価格面で1ランク高いという印象はあり、たとえば(残像間が少ないなどの)画質差だけでTH-26LX500を選択できるかというと、ちょっと腰が引けるというのも正直な印象だ。

 ただ、実際に製品を見て、松下製品が良く売れている理由はよくわかった。入出力端子は豊富だし、チャンネル切り換えも素早い。デザインを壊すことなく前面に操作ボタンやAV入力を配置するなど使い勝手への配慮も多く、この点は基本的には下位製品となるLX50シリーズも共通だ。個人的には、LX50に「新PEAKS」とi.Link端子を搭載した製品があれば……と思ってしまう。

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