コラム
» 2005年10月11日 08時45分 UPDATE

小寺信良:見えてきた次世代DVDの正体 (1/3)

今年のCEATECでは、次世代DVDの両陣営がカンファレンスやパネルディスカッションを通じて熾烈な戦いを繰り広げたようだ。そこで公表された内容と照らし合わせながら、次世代DVDの方向性を透かしてみよう。

[小寺信良,ITmedia]

 展示に目玉がないとささやかれた今年のCEATECだが、カンファレンスやパネルディスカッションに舞台を移して、次世代DVDの両陣営は今年初めのCES以来の熾烈な戦いを繰り広げたようである。今回は「DVD Forum Japan Conference 2005」と、「Blu-ray Discが実現する素晴らしき世界」と題されたパネルディスカッションで公表された内容と照らし合わせながら、次世代DVDの方向性を透かしてみようと思う。

 今回明らかにされた部分では、特にHD DVDのほうがメディアフォーマットだけでなく、アプリケーションレイヤーの話まで出ていきているところが印象的であった。ROMの発売はHD DVDのほうが一足早いこともあって、まあ先行していて当たり前といえば当たり前なのだが、現状のDVDからすると意外でもある。

 それというのも、HD DVDの規格はなにも東芝とNECと三洋の三社で勝手に決めているわけではなく、「DVDフォーラム」という大きな組織を背負っている。この中にはもちろんBlu-ray陣営の会社のほとんどが含まれているわけなのだが、それでもこのスピードでモノゴトが決まっていくという点は、素直に驚いていいだろう。

 この動きは、記録型DVDの時と逆だ。DVD−と+、すなわちDVDフォーラムとDVD+RWアライアンス対決のときは、記録速度面や容量面での改革は、つねにDVD+RWアライアンスのほうが先行してきた。これはDVD+RWアライアンスのほうが2種類の記録型だけで、しかも技術的にメインとなっている会社が少ないためコンセンサスがとりやすかったところが大きく影響していたと考えられる。

 一方で大所帯であるDVDフォーラムの方は、技術的にはすぐに追いつけるものの、フォーラムでの規格認証を待たなければ製品やメディアがリリースできず、常に実製品レベルでは半年近い遅れで追いかけていかざるを得ない状況であった。

 だが昨今の両陣営の動きを見ていると、注目の舞台がROMに移ったことで、今のところどうもDVDフォーラムを背負っているHD DVD側が先行し、Blu-ray側があとから追っていくような印象を受ける。

メディアに求められる条件

 実は10月5日、すなわち「DVD Forum Japan Conference 2005」の前日だが、筆者は明治記念館にて「デジタルテレビがもたらす次世代ライフスタイルの徹底研究」というタイトルでセミナーを行なった。

 このときは、デジタルテレビの存在を中心にして、様々なメディアがどう関わっていくのかという包括的なお話をさせていただいたのだが、この中の次世代DVDに求められるもの、としてしゃべった内容が、「DVD Forum Japan Conference 2005」で発表された内容とあまりにも酷似していたので、記事を読みながら思わず一人で笑ってしまった。

 もちろん筆者には事前に情報がリークされていたわけではない。そういう情報ソースだったらば、公の場ではとてもしゃべれない。まったくの予想というか、ゆくゆくはこうなるように世論を盛り上げていかないとナ、というつもりだったのだが、実はそれが織り込み済みだったのである。

 具体的にいくつかのポイントをご紹介しよう。当日セミナーに参加していただいた方も、最新の情報とすり合わせたあとの持論を改めてご紹介することで、決して損はないはずである。

 カンファレンス席上では、東芝 デジタルメディアネットワーク社 首席技監の山田尚志氏が、従来のパッケージビジネスと並行して、ネットワークでコンテンツを提供するビジネスモデルの可能性を示唆した。最終的な運用は決定していないとしながらも、サーバからの配信は有り得るという。

 筆者も同じように、映像ビジネスは次世代DVDによるメディアベースから、ネットワークベースへ移行することを予測した。多くの人は音楽と同じように、映像コンテンツのダウンロード配信を想像されているかもしれないが、筆者の考えは少し違う。おそらくダウンロードという蓄積型の販売形態は、コンテンツホルダーの抵抗が大きいと考えている。

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