ITmedia NEWS >

ZEROとTUMIの洪水に辟易した人のための超軽量アタッシェ、渓水「SuperTransporter」プロフェッサーJOEの「Gadget・ガジェット・がじぇっと」!(3/4 ページ)

» 2006年08月22日 13時15分 公開
[竹村譲,ITmedia]

 今や鞄は年齢を問わず、ジャケット、腕時計、貴金属などと並ぶ「チョイ悪おやじ」を頂点とする男性ファッションのキーアイテムとなっている。「サラリーマンの通勤鞄」の枠を越えた急激な市場の拡大は、多くの新参組を生み、歴史とブランドパワー、そしてなによりレジェンドのない「オロビアンコ(orobianco)」や「ダニエル&ボブ(DANIEL & BOB)」等々、多くの海外発掘メーカーが日本の代理店やトレンド系モノ雑誌とマッチポンプ的連携を進め、インターネットを活用して売り上げを伸ばしている。これらの鞄を「もう1つの選択肢」と考える人もいるだろう。

 しかし、今回のこのへそ曲がり系コラムでは、「オロビアンコ」や「ダニエル&ボブ」に代表される「仮想オンリーワン・イメージ系」、「プチリッチ系」、「彼女が一押し系」、「ファッションリード系」、「デザイナーズブランド系」、「値段そこそこ系」ではなく、メカ設計屋さんや鈑金屋さんが作った誰の目にも明快で分かりやすいテクノロジーの上に成り立っている、マニアックで蘊蓄満載。男が自分の意志で選び、自分のお金で、リボ払いで買う、そして磨きながら毎日使う新進の純国産アタッシェケースを取り上げてみたい。

エアロコンセプトが持つ意味

 航空機や新幹線など、高速で飛行や走行を行うこれらの乗り物のパーツは、常に軽量性と堅牢性、安全性を同時に要求される。「エアロコンセプト」はこれら乗り物のパーツを提供している株式会社「渓水」が製造する鞄をはじめとするステーショナリー群に付けられたブランドネームだ。実際の本業では、航空機や新幹線のインテリアにあたる座席のアームレストなどを開発提供している。これらの精密加工技術をコアにしたアタッシェケースが今回の主役だ。

 使用する素材は、アルミニウムやジュラルミンなど、軍事物資にも対応できる「ミリタリースタンダード」をクリアしたマテリアルだ。それを同社の「精密鈑金技術」を用い、わずか十数人の職人が手作業で精密に作り上げ、組み上げてゆく。

 筆者の購入したアタッシェケースは、「SuperTransporter B4Type」(スーパートランスポーター)と言うペットネームが付けられており、名前から想像できる通り、超軽量のB4サイズアタッシェケースだ。

エアロ・コンセプトに基づく「SuperTransporter」。B4サイズでもあり、なかなか小振りで軽量、表面の革の色によっては女性にも人気の出そうな可愛いアタッシェケースだ(左) 左右に1個づつある開閉の為の円筒形のフック。上(ハンドル側)に引き上げるだけでロックがはずれて簡単にアタッシェケースを開くことができる。持ち運び時に他人の鞄などに触れたときに開いた危険性があった。同時に両方のロックがはずれることは確率的に低いので、まあお目こぼしの範囲か(右)
底面にある自立のための4つの「足」。これも当然同じ金属が採用されているが、鞄その物が非常に薄く、スマートな半面、足のコンパスを広く取ることが不可能で、転倒する危険性が大きい。4つの足は、アタッシェケースをを開いた時に、開きすぎないように直角に近い適度な確度で固定するストッパーの役目も果たしている(左) 底面の蝶番(ちょうつがい)部分には「MS20001-2」と誇らしげにミリタリースタンダードである証明の印字がされている。確かに蝶番は精度が高く、アタッシェケースの蓋を閉まる間際まで手でもって行き、自重を利用して軽く落とすだけで、見事に気持ちよい音を立ててロックされる(右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.