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» 2006年09月21日 21時09分 UPDATE

A&Vフェスタ2006:ウッドコーンは“酒”が好き

ウッドコーンスピーカーは、その名の通り“木”そのものを振動板の素材にしたスピーカー。2003年に1号機「EX-A1」が登場して以来、その音と外観で人気を博してきたが、実は大の酒好きらしい。しかも甘口がお好みだ。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 9月21日に開幕した「A&Vフェスタ2006」。日本ビクターブースは、独自技術による「ウッドコーンスピーカー」を全面に押し出した内容になっている。ウッドコーンは、その名の通り“木”そのものを振動板の素材にしたスピーカー。ブース内には、歴代のウッドコーンスピーカーから素材や製造工程の紹介、そしてコンセプト商品の参考展示まで揃い、ウッドコーンのトリビアが満載だ。

photo 日本ビクターブース

 ウッドコーンの材料は、北海道産の樺だ。振動板の素材は一般的に伝搬速度が高く、部損失が大きいものが理想的とされているが、木材はその理想に近い特性を持つ。とくに樺の無垢材は、アルミ材に匹敵する伝搬速度がありながら、内部損失も大きいのが特徴だ。

 木から振動板を作るためには、まず立体成型しなければならない。同社では、丸太の状態からロータリー方式のカッティングで厚さ0.28ミリの薄板シートを作成し、裏面に和紙を貼り合せてさらにカット。このシートにV字状の切り込みをつけ、成形時の割れを防止するために潤滑剤に含浸させる。

 プレスは1次〜3次までの計3回行われるが、潤滑剤やプレス圧力、金型温度、プレス時間などに多くのノウハウがあり、現在では、ほぼ100%の歩留まりで成形加工できるという。さらに熱硬化樹脂と防湿剤を組み合わせることで経時変化に対応できるようになった。

 ……というのが同社の技術説明だが、ここでいう“割れを防止するための潤滑剤”とは、実はお酒のことだという。「プレス時の“割れ”が開発時の問題だった。しかし、プレスの前に酒に浸すと、木の繊維に適切な湿度が加わって柔軟性が増すことがわかり、ウッドコーンの実用化に繋がった」(同社)。

 「一体誰が酒を持ってたのか?」という疑問はさておき、実際に展示ブースには“酒なし”でプレスした失敗例も並べられていて(“酒なし”とマジックで書いてある)、本当に酒を使用していることがよく理解できる。ちなみに、酒は「甘口のほうが具合が良い」らしい。へぇー。

photophoto ウッドコーンの製造工程(左)。右はプレスの失敗例。酒が切れると木が割れる

 さて、そんなウッドコーンスピーカーは2003年に1号機「EX-A1」が登場して以来、その音と外観で人気を博してきた。年輪がはっきりと浮き出た振動板はキャビネットの木目と相性が良く、高級で落ち着いた印象を与えるため、高級旅館やホテルが客室用に一括採用するケースもあるという。

 ブース内には、いくつかの参考出展もあった。たとえば下の写真は、ウッドコーンスピーカーを使用する一体型オーディオだ。DVDオーディオプレーヤーとチューナー、40ワット×40ワットのアンプを内蔵し、キャビネットはもちろん木製。天板には一枚板を使用している。

photophoto ウッドコーンスピーカー搭載の一体型オーディオシステム(左)と同じくAVラック型のフロントサラウンドシステム(右)

 スピーカーユニットは9センチ径のフルレンジ。同社ではEX-A1以来、8.5センチ径のウッドコーンを使用してきたが、再生周波数の拡大と音圧アップを図るため、新たに9センチユニットを開発。ボイスコイルにはアルミリングを追加して歪みを抑えた。

 この一体型オーディオシステムは、2007年秋の発売を目指して開発中。「大人のためのオーディオ」がコンセプトというだけに価格も相応で、10万円前後がターゲットプライスになるという。

 また、フロントサラウンド技術「ルートフォー」を採用したウッドコーン搭載のAVラックシステムも展示されていた。中央のDDスピーカーはさすがにウッドではないものの、フロントL/Rはツィーターも含めてウッドコーンだ。こちらは製品化のメドは立っていないというが、ウッディなインテリアにはよく似合いそう。グラスを傾けつつ、ウッドコーンの音に耳を傾けるには最適かもしれない。

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