小型化に伴い光学ズームは12倍から10倍へとHDC-SD3に比べややスペックダウンしたものの、必要充分な数値といえる。25倍/100倍の切り替えが可能なデジタルズームも備わっているので、うまく併用すれば不満はないはずだ。今回借りることができた個体が試作機だったため、画質面のチェックは行えなかったが、少なくとも試し撮りの範疇では不満を感じることはなかった。
内蔵マイクはステレオ。こちらも先代の5.1chサラウンドに対してスペックダウンされている。しかし、カメラのズーム機能と連動したズームマイク機能は健在で、それだけでも充分に価値がある。内蔵で5.1chが本当に必要なのか、綺麗にセパレートされたサラウンドがちゃんと録音できるのかという根本的な疑問を考えると、充分なスペックだと思う。実際録画した映像で音声をチェックしたが、安定したステレオイメージを確保。音質的にも内蔵とは思えないクオリティを保っていた。
液晶モニターは、2.7型ワイドを採用している。約170度の広視野角が確保されているので、カメラの近さに合わせていちいちモニターを回転する必要がなく使いやすい。撮影時だけでなく、撮影した映像をちょっと試しに見るときにも、かなり細部まで映像の出来をチェックすることができる。
さて、編集や保存で気になるのはパソコンとの親和性だが、こちらもカードメディアのアドバンテージをいくつか感じる。たとえばパソコンにデータを移す際、カメラ本体が必要ない点。カメラ本体をUSB 2.0で繋いでデータを移動することはもちろん、市販のSDHC対応のメディアリーダーでもデータを移せるのは便利だ。映像の取り込みから視聴、簡単な編集作業(カット編集)など、基本的な作業は付属ソフト「HD Writer」で行える。HDC-SD5を購入する場合は、PC連携を前提に考えるのがベターだろう。
テスト機に同梱されていたHD Writerのバーションは2.0。対応OSはWindows 2000 SP4、Windows XP、Windows VistaとPCのみでMac非対応なのが残念なところだが、メディアリーダーでデータを移し、「Final Cut Pro 6」などAVCHD対応の編集ソフトを活用すれば大丈夫。ちなみにMac OS X 10.5“Leopard”ではAVCHDに正式対応する予定のようなので、心配はなさそうだ。それよりもHD Writerは、簡単ユーティリティーといったイメージが強いソフト。しっかりした編集作業を行いたいのであればVideoStudio 11などの市販ソフトを併用するのが得策だろう。
HD Writerで編集した動画はMPEG-2に変換(SD画質)してDVDメディアへ記録するか、ハイビジョン解像度のままAVCHD規格でDVDに焼くことができる。AVCHD方式でダビングしたDVDを再生できるのは、現状で同社のBDレコーダー「DMR-BW200/BW100」のみだが、同社はDレコーダー製品のAVCHD対応を進める方針を明らかにしている。対応機器の拡充には期待できそうだ。
もちろんPCを持っていない人のための再生・保存手段も用意されている。前述のDMR-BW200/BW100なら、カードスロットにSDカードを入れるだけでBD-REに保存/再生が行えるほか、ポータブルマルチDVDドライブ「LF-P968C」をUSB接続して、AVCHDのまま直接DVDにコピー(保存)する方法も選択できる。旅先でSD/SDHCカードがいっぱいになってしまった、という場合などにも重宝しそうだ。なお、LF-P968Cで再生するときは本機を介してテレビに出力する必要はあるが、DMR-BW200/BW100ならメディアをそのまま再生できる。
これ以外にも、HDMI(ビエラリンク対応)やD端子、アナログAV端子も用意されているので、少なくともテレビで再生するぶんには問題ない。さらに同社製テレビ(PZ700シリーズ以降)なら、カードスロットから直接フルHD再生が行える。
HDC-SD5は、さらにコンパクトになったボディによる機動性の高さで、フルHD+3CCDの高画質を身近な存在にしてくれる。実際、HDC-SD3と比較したときの“スペックダウン”よりも、軽快になったことのメリットのほうが大きいと思う。とくにこれからのシーズン、運動会や行楽で大いに活躍してくれることだろう。
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