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日本ならではの+α、ワンセグウォークマン「NW-A910」レビュー(4/4 ページ)

» 2007年10月16日 09時07分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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+αはワンセグ、国産メーカーの面目躍如

 ポータブルプレーヤーとしての機能はNW-S710F/S610Fシリーズ(レビュー)と同等。楽曲についてはATRAC(ATRAC3、ATRAC3plus含む)/WMA/MP3/AAC/ATRAC Advanced LOSSLESS/リニアPCM、動画についてはMPEG-4(SP/最大ビットレート2500kbps)とH.264/AVC(AVC)Baseline Profileレベル(最大ビットレートは768kbps)が再生できる。デジカメ画像など静止画の表示機能も備える。

 添付ソフトの構成もNW-S710F/S610Fシリーズと同様で、楽曲転送用の「SonicStage CP」と動画/静止画転送用の「Media Manager for WALKMAN」が付属する。詳細についてはNW-S715Fのレビューを参照してもらいたいが、添付の2ソフトでは動画フィアルの形式変換が行えないことに留意したい。テレビやビデオカメラなどで自身が録画した動画ファイルを転送したい際には、Image Converterなどのソフトを別途用意する必要がある。

photo 「Media Manager for WALKMAN」はビデオポッドキャストの受信/転送も行える

 ノイズキャンセル機能も搭載している。上側面にON/OFFスイッチが設けられており、任意のタイミングでON/OFFが可能だ。楽曲のみならず動画の再生時やワンセグ放送にも効果は適用されるため、利用できる場面は多いだろう。効果についてはNW-S710F/S610Fシリーズと同じく「周囲の騒音を1/4に低減」をうたっており、実際に地下鉄やPCを複数台おいた室内などで利用してもその効果ははっきりと感じられる。

photo 上段が付属イヤフォンのケーブル、下段がMDR-EX90SLのケーブル太さの違いが分かるだろうか

 しかし、NW-S715Fに比べるとイヤフォンケーブルが太く・硬いものに変更されているようで、利用時にケーブルが首筋や洋服のエリにこすれた際のノイズを拾う場合が見受けられた。ワンセグチューナーの搭載により、ケーブルにノイズ対策のシールドが必要になったためとと推測するが、使い勝手につながる部分なので、もう少し柔軟性の高いケーブルを使って欲しいところだ。

 付属イヤフォンは13.5ミリというMDR-EX90SLと同口径の大口径ドライバーを搭載する「EXヘッドホン」。圧縮音源が圧縮時に失った高音域を補完する「DSEE」(Digital Sound Enhancement Engine」やステレオのL/Rをセパレーションする「クリアステレオ」、ゆがみを抑えながら低音を増幅する「クリアベース」も搭載されており、既存シリーズ製品が実装する高音質化技術はすべて備えた格好だ。なお、DSEE/クリアステレオ/クリアベースは楽曲ファイルの再生時のみ有効となっている。

 各種機能利用時の最長バッテリー持続時間はワンセグ視聴が約6時間、ワンセグ録画が約8.5時間、音楽再生時が約36時間、動画再生時が約10時間。日常的な利用を考えれば不足のないレベルと言える。

photo

 本製品が発表される前に記したNW-S710F/S610Fシリーズのレビューで筆者は、「NW-SシリーズとNW-Aシリーズの住み分けをどのように計っていくか不透明だ」と述べたが、新たなAシリーズである本製品は、ワンセグという付加価値をプラスすることでその問いに明確な答えを出した。

 本製品はウォークマンというフォーマットに、日本市場をマーケットととする製品でしか成立しないワンセグという機能を折り込み、高いレベルでまとめ上げた製品だ。「全部入り」という観点ではFMラジオの非搭載が残念だが、逆を言えばFMラジオ以外はすべて備えているともいえ、ハイエンドという位置づけにふさわしい充実した機能ぶりだ。

 iPodシリーズはiPod touchという斬新な新機軸を搭載した新製品をフラグシップとして用意するが、本製品はあくまでも「日本ならではの+α」を搭載することで、その存在感を際だたせている。ソニーという国産メーカーの面目躍如といったところだ。

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