インタビュー
» 2009年06月24日 10時30分 UPDATE

初のHDMI 1.4対応チップ登場、テレビはどう変わる?

米Silicon Imageは6月22日、HDMI 1.4対応チップを発表した。9月後半から出荷予定で、2010年早々には各メーカーから製品が発売されるという。では、これによってテレビはどう変わるのだろうか。

[芹澤隆徳,ITmedia]
phoro 米Silicon Image、プロダクトマーケティング担当ディレクターのWaheed Rasheed氏(右)と、同社ディレクターで日本法人の社長も務める竹原茂昭氏(左)

 米Silicon Imageは6月22日、HDMI 1.4に対応したポートプロセッサー「Sil9387」とトランスミッターの「Sil9334」を発表した。9月後半から出荷を開始する予定で、2010年早々には各メーカーから製品が発売される見込みだ。同社プロダクトマーケティング担当ディレクターのWaheed Rasheed氏と、同社ディレクターで日本法人の社長も務める竹原茂昭氏に話を聞いた。

 既報の通り、HDMI 1.4ではフルハイビジョンの4倍の解像度を持つ4K2K(3840×2160ピクセル、4096×2160ピクセル)をはじめ、1080pの映像信号を2ストリーム利用する3Dへの対応を実現する。さらにHDMIケーブルで100Mbps以上のIP通信を可能にするHEC(HDMI Ethernet Channel)、オーディオ信号のアップストリームに対応したARC(Audio Return Channel)といった新機能も盛りこまれ、使い勝手の向上と将来の機能拡張という2つの面を強化している(→HDMI 1.4が示した“業界の方向性”)。

 このうち、最初に登場するHDMIチップが目指したのは主に操作性の部分。「新しいHDMIチップではHECとARC、そして視聴環境に合わせてビデオモードを最適化する『コンテンツタイプ・ビット』という機能にフォーカスした」(Rasheed氏)という。

 具体的な仕様を見ると、ポートプロセッサーには5つのHDMI入力があり、このうち1系統だけがHECをサポートしている。「別途イーサネットスイッチを設ければテレビをハブとして使うことも可能だが、対応機器のない状況では(5本すべてをHEC対応にしても)コストが上がるだけ」と同氏は指摘する。「無線LAN機能を持つゲーム機のようなデバイスとHDMIでつなぎ、ネット接続を共有するほうが簡単だ。また将来的には、ルータ機能を持つAVアンプなども登場するだろう」。

photo 「Sil9387」の概要。5つのHDMI入力があり、このうち1系統だけがHECをサポート。イーサネットはツイストペア(4本)ケーブルが基本だが、HECでは19本あるHDMIの心線のうち2本しか使えないため、ポートプロセッサーで変換をかける。またARCについては、SoCがS/PDIFに変換した音声をポートプロセッサーがHDMIにアウトプットする仕組み。MHLをHDMIに変換するのもポートプロセッサーの役目だ
photo トランスミッターの「Sil9334」を用いたAVシステム接続。AVレシーバー(AVアンプ)を中核にしている
型番 概要 特徴
Sil9387 ポートプロセッサー テレビ、ディスプレイ用チップ。5つのHDMI入力と1出力を持つ。HECやARCに対応するほか、InstaPortやMHLをサポート
Sil9334 トランスミッター BDプレーヤーやAVアンプ向けのチップ。HECやARCをサポートするほか、1080p/30Hzで48bitのDeep Colorに対応

 ポートプロセッサーは、SoC(System on a chip)の前段に設けられ、SoCの一部機能を肩代わりしている。メーカーは、ここを変更するだけで、テレビに新しい機能を付加できるのがメリット。「東芝やサムスンのテレビが“InstaPort対応”で実証してくれた」(Waheed氏)。

 一方、3Dに関しては、「3Dフォーマットの信号をやり取りする際にはテレビとソース機器がお互いにEDID(Extended Display Identification Data)を交換し、対応機器と認識すればいい。ソース機器側がサポートしていれば、ポートプロセッサーはパススルーできる」と話している。ただし、3Dフォーマットのデコードといった処理が必要になるため、当然ながらテレビシステム自体に大きく手を加える必要がある。

 今回のHDMI 1.4チップは、テレビを3Dに対応させる手段は確保しながらも、HECやARCといった導入しやすい部分に焦点をあてることで、テレビメーカーが素早く市場にHDMI 1.4対応製品を投入できるようにした製品といえそうだ。ターゲットになるテレビは、ハイエンドではなくミドルクラス以下。もちろん、ボリュームゾーンに新チップを投入することで、同社はInstaPortやMHL、Liquid HDといった独自技術を広めることもできる。

 「現在、およそ24%のコンシューマー機器がイーサネット端子を備えており、今後も増えていく。ただ、そのすべてが本当にネットワークに接続されているかといえばそうではなく、まだまだ接続率は低い。HDMIにイーサネットを統合することで接続率が上がり、DLNAやLiquidHDといった新しいアプリケーションが拡大することを期待している」(Waheed氏)。

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