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» 2010年02月19日 15時51分 UPDATE

“Blu-ray Discならでは”を評価する「DEGジャパン・アワード」、受賞作決定

DEGジャパンが主催する「第2回 DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」の授賞式が2月18日に行われた。「もっともBlu-ray Discの特性を引き出したもの」に与えられる“グランプリ”は「崖の上のポニョ」。

[ITmedia]

 DEGジャパンが主催する「第2回 DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」の受賞作品が決定した。グランプリに輝いたのは、「崖の上のポニョ」(販売元はウォルト・ディズニー・ジャパン)。2月18日には都内で授賞式が行われ、各メーカーの担当者に審査員から賞状とトロフィーが渡された。

photophoto DEGジャパン会長の塚越隆行氏(ウォルト・ディズニー・スタジオ・ホーム・エンターテイメント日本代表)

 DEG(デジタル・エンターテイメント・グループ)ジャパンは、映像ソフトメーカーや映像機器メーカーが加盟する次世代デジタルエンターテイメントの普及促進団体。表彰式であいさつに立ったDEGジャパン会長の塚越隆行氏は、2009年のBD市場規模が前年比280%の約200億円規模になったことを紹介し(GfKジャパンの調査データ)、「BDが伸びていることを消費者に伝えることが大事。アワードは、作品を通じてBDのメリットをお知らせできる重要な機会」とその意義を語った。

 2009年に始まった同アワードは、単純に販売本数が多い作品ではなく、画質や音質、インタラクティブ性といった“Blu-ray Discならでは”の特性を生かした作品を評価するというもの。審査委員には、麻倉玲士氏(審査委員長)、本田雅一氏、藤原陽祐氏といったAV評論家にくわえ、「キネマ旬報」「スクリーン」「HiVi」といった専門5誌の編集長を含めた15名が名を連ねている。

 アワードには、「もっともBlu-ray Discの特性を引き出したもの」に与えられる「グランプリ」のほか、最も画質がいいタイトルに贈られる「ベスト・高画質賞」、高音質の作品を対象とした「ベスト・高音質賞」など7つの賞がある。このうち、一般のユーザー投票による「ユーザー特別賞」、およびBD化の際に修復作業が行われた旧作品を対象とする「ベストレストア賞」は、BD市場の拡大を考慮して今回から設けられたものだ。

photophoto 審査員長の麻倉玲士氏(左)。「審査員特別賞」授与のプレゼンターを務めた本田雅一氏(右)

 審査対象は、2009年に国内で販売されたBD約1100タイトル。まず審査員および一般ユーザー投票による1次選考で23作品のノミネート作品を決め、合議による2次選考を経て各賞が決定した。グランプリを受賞したのは、前述の通り「崖の上のポニョ」。審査委員長を務めた麻倉玲士氏は、「劇場体験をそのまま家庭で得られる、そして宮崎監督ならではの世界観をきわめて忠実に再現している秀逸な作品」と評価した。

 そのほかの受賞作と寸評は下表の通り。なお、「ベスト高画質賞」のビデオ部門と「審査員特別賞」については、審査員がほぼ同数ずつ異なるタイトルを推薦したため、それぞれ2作品が受賞している。

 麻倉氏は、今年のアワードを総括して「日本のBDコンテンツ力が向上」「ビデオ作品の画質向上」「レストア力の向上」の3点を挙げた。なかでも、「崖の上のポニョ」に見られる圧縮へのこだわりに感銘を受けたと言う。「圧縮を担当したPHL(パナソニック・ハリウッド研究所)に取材したが、MPEG-4 AVCのフォーマットに根本から手を入れ、アナログ風の映像を作りだした。宮崎駿監督のディレクターズ・インテンションを感じる仕上がり」。また、レストア力の向上で過去の名作がBDでよみがえることも「きわめて大事なこと」と評価。一方、今後の課題として、音楽タイトルやインタラクティブ機能が充実したタイトルの不足を挙げた。「とくにポップス分野は不足。がんばりましょう」。

photo 審査委員と受賞者の集合写真

グランプリ 「崖の上のポニョ」

手書きの柔らかい質感、何とも言えないしなやかな風合い、まるで絵本の世界がそのまま動くかのような映像が素晴らしい。劇場の体験をそのまま家庭で得られる。そして宮崎駿監督ならではの世界観をきわめて忠実に再現している秀逸な作品。画質だけでなく、音楽、音質、特典とすべてのコンテンツ要素がたいへん優れており、日本発のアニメ文化、そしてBlu-ray Disc文化の高さを体現するコンテンツ。技術、こだわりには称賛を惜しまない。


ベスト高画質賞・映画部門 「ブレイブハート」

スコットランドで撮影した自然の風景、その美しさが際だっている。フィルムそのものの雰囲気がしっかりと出ており、引いた画でもノイズは少なく、発色はビビッド。オリジナルフィルムはここまで高画質だったのかと、この国内版を観て初めて分かった。(キネマ旬報の明智惠子編集長)


ベスト高画質賞・ビデオ部門 「映像詩 里山 劇場版」

本当にそこにいるかのように感じる臨場感が素晴らしい。自然界の貴重な瞬間に立ち会っているような感覚を覚える。とくに夜のシーンや里山の風景・表情を時間をかけて非常に丁寧に作り上げており、記録映像として高く評価できる作品(DVD VISIONの千葉栄編集長)


ベスト高画質賞・ビデオ部門 「Healing Islands OKINAWA〜竹富島・西表島」

最新のハイビジョンらしさがよく出ている。ズーミングやパンニング時の圧縮ボケがほとんどなく、一方でピン送りした際のボケ具合はとても良い。瓦や砂浜の砂の色、1つ1つがまろやかに表現されている。画面全体にフォーカスが確実で、ここまで透明感の高い映像は見たことがないほど(DVD VISIONの千葉栄編集長)。


ベスト高画質賞・アニメ部門 「モンスターズ・インク」

ぎりぎりのところでフィルタリングをして、Blu-ray Discの持つ特性をフルに生かしている。つまりBD-ROMの持つ解像度のリソースを限界まで出している。(モンスターの)毛並みや雪の質感が実にリアル。また影の使い方が非常に素晴らしく、画面のどこを見てもさまざまな光の影がきれいに移されている。Blu-ray Discの素晴らしさが、とてもよく分かる作品(DVDデータの小川純子編集長)。


ベスト高音質賞・音楽部門 「NHKクラシカル ハイティンク指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 ペライア」

音に実に深い奥行きがあり、楽器1つ1つの音が立ち上がって見事に融合している。また演奏前の静けさに包まれた空気感、ホールの響き、楽器のクリアな音などホールの特性や音の特性が最大限に生かされており、音の安定感、空気感、レンジ感など、すべての面において秀逸な作品(日本オーディオ協会 サラウンドサウンドワーキンググループの小谷野進司主査)。


ベスト高音質賞・映像部門 「ウォーリー」

人の声が全く使用されず、忠実に作り込んだ疑似音のクオリティが実に素晴らしい。爆発音などの広がりにも奥行き感があり、とてもリアル。アクション映画的な騒がしい感じでは決してない。静と動のコントラストが上手に表現できている。丁寧に、そしてエモーショナルに制作された音世界を称賛したい(スクリーンの米崎明宏編集長)。


ベスト・インタラクティビティ賞 「劇場版 名探偵コナン 漆黒の追跡者」

昨年はJava作品が目に付いたが、本作品はBD-Liveをうまく生かしている。ダウンロードによって特典映像の内容が変わっていくなど、BD-Liveによってソフトが成長していく仕掛けが素晴らしい。何度でも楽しめる作品。劇場版の単なる焼き直しではなく、BDパッケージならではの新しい付加価値を作り出した(AV評論家の藤原陽祐氏)。


ベスト・レストア賞 「トラ・トラ・トラ! 製作40周年記念完全版」

アップと引きでの繊細感が高く、空気の澄み切った感じがレストアにより表現できたことが素晴らしい。また、米国未公開シーンを収録するなど、オリジナルフィルムに忠実に編集されており、プレミア感が高い。画質だけでなく、音質も含め、総合的に作品としてのレベルが非常に高い(HiViの泉哲也編集長)。


審査員特別賞 「七人の侍」

オリジナルフィルムは傷だらけの状態で、表現しきれない情報も多かった。しかし本ソフトは、ディティールをしっかり残しながら(画面上の)キズを抑え、階調もまるで掘り起こすように丁寧に作られている。優れたレストアの成果はおおいに評価したい。またFORS(Faithful Original Signal)という高音質マスタリングにより音の忠実度が高いことも特筆。古い作品をBD化する意味はあるのか? と話題になったこともあるが、「七人の侍」は旧作もBDになると“すばらしい体験ができる”と証明した(本田雅一氏)。


審査員特別賞 「劔岳 点の記」

大自然の厳しい環境の中、オールロケで撮影された音や映像が実にリアル。さりげない山の風の音などが細かく表現されており、丁寧な音づくりが全編にわたって貫徹されている。日本映画におけるクオリティーの金字塔(本田氏)。


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