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3D対応ソフトは増える、楽観視する理由本田雅一のTV Style

» 2010年02月13日 14時49分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 あんまり3Dテレビの話ばかり書いていると、また担当編集Sからお目玉を食らってしまうのだが、ここは黙って再び3Dの話題。先週、「ズームイン!!SUPER」で3Dテレビの話題が取り上げられたと話したが、今週は「めざましテレビ」でも3Dテレビが話題に。

photophoto パナソニックが3Dテレビをいち早く発表。「リビングのハイビジョン3D元年」をぶちあげた

 筆者のコメントも少しばかり取り上げていただいたが、「ソフトが増えてこないと〜」という、司会の大塚さんのコメントで終わっていたのが少しばかり気がかりだった。実は事前取材のとき、スタッフに「3Dソフトはまだ少ないですよね」と尋ねられたので、「今ある3Dソフトは全部古い方式(アナグリフ)なので、実質的にはゼロと同じです」と答えたことが遠因としてあるような気がしたからだ。

 もちろん、”3Dソフトがない”というのは大きな問題だ。しかし、この点に関して筆者はとても楽観的に考えている。では「なぜ楽観的なの?」という話を今回はしたい。

 まず3D映像がスゴイといっても、すべての映像が3Dになればいいという話ではない。もちろん、スポーツ放送が3Dになれば会場の迫力に一歩近づけるだろうし、音楽ライブなどでも好きなアーティストが目の前で歌っているように飛び出してくれば、これも素晴らしいエンターテイメントになり得る。もともと3Dで見てもらう事を前提に演出している3D映画ならなおさらだ。

 しかし、普通のドラマなどを3D化するのは、しばらくは難しいかもしれない。ハイビジョンへとテレビが移り変わる中でテレビの画面サイズが大きくなり、縦横比も変化。以前よりもバストアップのショットは少なくなり、引きで複数の人物が同時に画面内に入る撮り方が増えてきた。

 これと同じように2Dから3Dへと映像表現が変化すると、カメラワークや映像の演出手法が変化してくる。3D向けに撮影した映像を2Dで見ると、いまひとつピンと来ないというものが多いように思う。撮影ノウハウも異なるので、カメラマンや演出家は新たにノウハウを蓄積するする必要もある。

 だから3Dで好きなドラマを見たいとう方は、まだ今しばらく待つ必要ありだ。しかし映画を3DのBlu-rayソフトで観るというのであれば、全く問題ない。パナソニックはレコーダー/プレーヤー合わせて4機種をリリースしているし、ソニーは今年発売のBlu-ray DIscプレーヤーのほとんどを3D対応にアップデートするようだ。またソニー「プレイステーション3」もファームウェアアップデートで3D対応になる。これらに3Dテレビを繋げば、3DのBlu-ray Discを楽しめる。

photophoto パナソニックが発表した3D対応VIERA「TH-P54VT2」とDIGA「DMR-BWT3000」

 映画は昨年、16本の3D映画がハリウッドで制作されたそうだが、今年は40本以上、最終的には50本近くが3Dで公開されるといわれている。実は3D映画の販売については家電メーカーと同じか、それ以上に映画スタジオが積極的。パナソニックが3Dテレビを発売するタイミングでは出そろわなくとも、時間が経過すれば3Dソフトが増加していくだろう。

 というのも、3D対応Blu-ray Discは、2D再生にしか対応していない従来のBDプレーヤー/レコーダーとの互換性もあるからだ。3Dソフトは2Dでも3Dでも楽しめる。だから、互換性のことを気にせずに映画スタジオは3Dソフトを積極的に販売プロモーションかけられる。

 このため、今は“3Dテレビ”と単純に表現しているが、正確に表現するならば、これは“3D表示機能付きテレビ”なのだ。3D映像を見ることができるが、もちろん、それによって2Dの画質が悪くなることはないし、むしろプラズマテレビの場合は3D化によって2D画質が向上しているという事実がある。

 おそらく、スポーツや音楽ライブの中継などに関しては、今後、有料放送で3D番組が企画されるようになるだろう。多チャンネル化が容易なケーブルテレビや衛星放送ならば、3D放送を今すぐに開始することができる。

 このあたりの事情に関しては、次回に紹介したい。

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