今年も年末商戦をにらんだ各種AV製品が相次いで発表される時期となった。「デジタルレコーダー」と同意義となったBlu-ray Disc(BD)レコーダーも同様で、ソニーとパナソニックを筆頭に各社から数多くの製品がお披露目された。
・アニメに強い「CREAS 2 plus」搭載、ソニーの新フラグシップ「BDZ-EX200」登場
・ソニー、新デザイン&「CREAS 2」搭載のBDレコーダーを発表
・プレミアムモデルやVHS一体型も:パナソニックが「ブルーレイDIGA」を拡充、6機種を発売
・2層BDに36時間フルHD録画、8.5倍対応のAQUOSブルーレイ
・BDもHDDも――欲ばりな録画テレビ、三菱“REAL”「BHRシリーズ」登場
各社製品を眺めてみると、「BDを搭載した」というだけでアピールポイントとなった時代は既に過ぎ去り、さらなる画質・音質の強化はもちろん、「真空管サウンド」「超解像」「8倍速録画」「アニメに強い」など各社がそれぞれの特色を製品へ投入し始めていることに気が付かされる。
デジタル・メディア評論家 麻倉怜士氏による月イチ連載「デジタル閻魔帳」。今回は出そろった秋冬モデルを通じたBDレコーダー全体のトレンドと、ソニーとパナソニックのトップモデルについて麻倉氏に語ってもらった。
麻倉氏: まずはBDに関する話題が非常に多くなってきたことに注目です。再生機(プレーヤー)では東芝のBD参入が挙げられます。こちらはまず米国市場向けですが、いずれ日本市場にも出してくるでしょう。とはいえ、ほんとうに期待されるのは「BD版RD」です。編集機能に長じたRDシリーズの魅力はワンアンドオンリーなもので、それをユーザーは知っていますし、もちろんそれは東芝が一番分かっているはずです。エアチェックしたものを編集してコンピレーションを作るという操作性では、RDに勝るものはないのです。
記録行為自身はハイビジョン時代となって盛んになっていますが、HDDにため込むだけで実質的にはタイムシフトになっています。タイムシフト視聴を主とするならばBDの必要性もない訳で、記録メディア(ディスク)を用意するならば、その入れ物にふさわしい編集機能や操作性が必要になります。
編集行為に対するニーズはあるはずですし、コンピレーションディスクを作るという需要を作りだせるのはRDだけです。放送の未来を考えるとき、RDがあるかないかは大きな関心事です。BD版RDが出たら、ユーザーは東芝に殺到するでしょう。肝心の東芝の首脳が、自分の技術がいかに強いかを知らないのは大問題です。
次に注目なのが、BDとテレビとの一体化です。BD一体型テレビはシャープから「DXシリーズ」として投入されましたが、実は同社レコーダー出荷量のうち約2割がこの一体型となるまで成長しています。
これは同社にとっても驚きで、HDMIの1本になったとはいえ、BDレコーダーとテレビを接続して使いこなすというのは予想以上にハードルが高いということが明確になったのです。シャープ製品については、「なぜHDDがないのか?」という問いもありますが、BDに加えHDDまでも一体化すると操作が煩雑化するという事情もありますから、対象とするユーザー層を考え、そこを嫌ったのでしょう。
三菱電機もBDレコーダーとの一体型製品を投入してきました。シャープ製品とは異なり、三菱の製品はBD/HDDレコーダーをテレビと一体化しています。リモコンが1つになり、ケーブル接続の必要がなくなっただけで、操作性などについての変化はありません。シャープ製品を利用すれば自然とBDの録画ライブラリができあがりますが、三菱製品を利用する限りタイムシフト利用されることにかわりはないでしょう。
逆説的なのかも知れませんが、コレクション指向ならばシャープ製品のほうが便利になっています。東芝がREGZAのほぼ全製品に録画対応機能を搭載するなど、録画テレビが大きな伸びを示していますが、BDがテレビの中に入っていくトレンドもますます加速していくことでしょう。
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