注目すべき3つのトレンド、最後の1つがソニー「BDZ-EX200」とパナソニック「DMR-BW970」に代表される、ハイエンドの潮流です。これまでもハイエンドモデルは存在していましたが、これらは少々異なる位置づけがなされています。
アナログ停波によってデジタルレコーダーの需要は増えますが、そうなると普及機の種類ばかり増えてしまい、メーカーは差別化を行いにくくなります。そこで、メーカーが独自色を打ち出すために注力し、製品化されたのがBDZ-EX200でありDMR-BW970なのです。
ソニーのBDZ-EX200は下位モデルと異なる技術が導入されています。昨年から同社はBDレコーダーの画質に力を入れてきましたが、もともとは「BDはハイビジョンだからきれい」という前提で、パッケージに収められた映像をストレートに映し出すことを第一にしてきました。ですが、パナソニックはPHL(パナソニックハリウッド研究所)からフィードバックされた高画質化技術を投入し「さらなる高画質」を指向し始めていました。それに対抗しなければならないというわけてす。
ソニーが高画質化のポイントとして考えたのが、「BDパッケージに収められた映像が8ビットであり、深度が足りないのでは?」ということです。それを高画質化回路「CREAS」によって14ビットまで拡張したのが昨年までですが、今回のBDZ-EX200でその回路は「CREAS 2 plus」に進化しました。
全モデルがCREAS 2になりましたが、plusでは特にマニアの多い「アニメ画質」を上げる技術を入れました。これはBDZ-EX200だけです。HDMI出力をオーディオ/ビジュアルの2系統出力する仕組みを用意したのも、このモデル限定です。この方法はパイオニアとデノンがBDプレーヤーで採用したものですが、BDレコーダーで採用したのはBDZ-EX200が初めてとなります。
HDMIは映像と音声が入れ子構造になっており、どちらかだけという伝送はできない仕様であり、広帯域の映像と音声を扱うBDの場合、1つの伝送路で映像と音声が帯域の奪い合いをしていることは以前、BDプレーヤーをテーマにした回で述べました。ソニーもBDプレーヤー「BDP-S5000ES」などで音声ビット拡張技術「SBM」(Super Bit Mapping)をオフにすると画質が向上することとを認識しており、それなら音と映像をわけてしまおうという発想で商品化したのがBDZ-EX200です。
パナソニックのDMR-BW970ですが、製品化へのアプローチは実のところソニーと変わりません。これまでは上位モデルでも技術的には下位モデルの延長線でしたが、今回はこのモデルだけという技術を用意して差別化を図っています。
ソニーは昨年に高級BDプレーヤーを投入していたのでBDZ-EX200によってハイエンド両面作戦を展開することになりましたが、パナソニックはハイエンドプレーヤーを投入していないため、高級プレーヤーと高級レコーダーをワンボディで追求する必要があったからですね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR