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BDレコーダー最新モデルにみる3つのトレンド麻倉怜士のデジタル閻魔帳(4/4 ページ)

» 2009年09月25日 10時00分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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麻倉氏: ハイビジョン時代となり、時間がたちました。これからはBDレコーダーにも、その情報をストレートに出すだけではなく、「どのような表現をしていくか」というメッセージ性が重要になってくるでしょう。それに、出力する画面にしてもサイズはもちろん、液晶かプラズマか、はたまたプロジェクターかとさまざまな要素が複雑に絡み合いますから、カスタマイズ性も求められるでしょう。

 今回検証したBDZ-EX200とDMR-BW970はいずれも優れた製品でした。BDZ-EX200の映像は既存の同社製高級プレーヤーを上回るほどで、投入された技術をフィードバックしたさらなる高画質プレーヤーの登場を期待します。また、製品の流通数でいえば5万円以下のほうが数は多いのですから、低価格帯製品への技術のシャワー効果も期待したいですね

 DMR-BW970のサウンドはある価格帯の単体CDプレーヤーに匹敵するぐらいにまで達していることが確認できました。パナソニックには、1台のBDレコーダーですべてをまかなうのではなく、最高の記録をするレコーダー、最高の再生をするプレーヤーと分離することも検討して欲しいですね。これだけの再生性能があるのだから、BDレコーダーも良いのですが、絶対に高級プレーヤーでさらに濃く展開すべきです。型番は「BD-H3000」がよいでしょう。

麻倉氏: 最後にシャープの新製品について、触れましょう。シャープはパナソニック、ソニーのようにハイエンドとそれ以外を完全に分けるということはしていません。今回のシリーズのトップモデル「BD-HDW50」は、部品や電源に高級部品をおごっていますが、それを特別視して差別化させているわけではありません。

 新製品で特に素晴らしいと思うのは、多彩なマルチタスクの実行です。これまでシャープ製品も含めた各社BDレコーダーは、BD-ROM再生中にタイマー録画の時間になると、モードが録画に切り替わっていました。せっかく盛り上がったところで、再生が停止してしまい、録画がスタートするのです。これは困りますね。

 シャープの新製品は、BD-ROM再生中に留守録が始まっても、そのまま再生が続きます。他社ができないことはそれだけではありません。他社モデルは2つのチューナーで同時録画する時には、「DR+AVCREC」「DR+DR」の組み合わせは可能でも「AVCREC+AVCREC」は不可能でした。ところが新製品では、AVCRECのダブル録画ができます。

 しかも、それらの組みあわせも可能なのです。つまりHDDにAVCRECでのダブル録画をしながら、BD-ROMを再生できるのです。またダブル録画しながら、HDDの録画をディスクにダビングもできます。これほどのマルチタスクマシンは史上初です。これまでBDレコーダーで感じていた不便を、革新的に解消させた製品として、画期的なものだと思います。

photo 近著「究極のテレビを創れ!」を手にする麻倉氏

麻倉怜士(あさくられいじ)氏 略歴

 1950年生まれ。1973年横浜市立大学卒業。 日本経済新聞社、プレジデント社(雑誌「プレジデント」副編集長、雑誌「ノートブックパソコン研究」編集長)を経て、1991年にデジタルメディア評論家として独立。自宅の専用シアタールームに150インチの巨大スクリーンを据え、ソニー「QUALIA 004」やBARCOの3管式「CineMAX」といった数百万円クラスの最高級プロジェクターとソニーと松下電器のBlu-ray Discレコーダーで、日々最新AV機器の映像チェックを行っている、まさに“映像の鬼”。オーディオ機器もフィリップスLHH2000、LINNのCD12、JBLのProject K2/S9500など、世界最高の銘機を愛用している“音質の鬼”でもある。音楽理論も専門分野。
 現在は評論のほかに、映像・ディスプレイ関係者がホットな情報を交わす「日本画質学会」で副会長という大役を任され、さらに津田塾大学の講師(音楽史、音楽理論)まで務めるという“3足のワラジ”生活の中、精力的に活動している。

著作


「究極のテレビを創れ!」(技術評論社、2009年)――高画質への闘いを挑んだ技術者を追った
「オーディオの作法」(ソフトバンククリエイティブ、2008年)――音楽を楽しむための、よい音と付き合う64の作法
「絶対ハイビジョン主義」(アスキー新書、2008年)――身近になったハイビジョンの世界を堪能しつくすためのバイブル
「やっぱり楽しいオーディオ生活」(アスキー新書、2007年)――「音楽」をさらに感動的に楽しむための、デジタル時代のオーディオ使いこなし術指南書
「松下電器のBlu-rayDisc大戦略」(日経BP社、2006年)──Blu-ray陣営のなかで本家ソニーを上回る製品開発力を見せた松下の製品開発ヒストリーに焦点を当てる
「久夛良木健のプレステ革命」(ワック出版、2003年)──ゲームソフトの将来とデジタルAVの将来像を描く
「ソニーの革命児たち」(IDGジャパン、1998年 アメリカ版、韓国、ポーランド、中国版も)──プレイステーションの開発物語
「ソニーの野望」(IDGジャパン、2000年 韓国版も)──ソニーのネットワーク戦略
「DVD──12センチギガメディアの野望」(オーム社、1996年)──DVDのメディア的、技術的分析
「DVD-RAM革命」(オーム社、1999年)──記録型DVDの未来を述べた
「DVD-RWのすべて」(オーム社、2000年)──互換性重視の記録型DVDの展望
「ハイビジョンプラズマALISの完全研究」(オーム社、2003年)──プラズマ・テレビの開発物語
「DLPのすべて」(ニューメディア社、1999年)──新しいディスプレイデバイスの研究
「眼のつけどころの研究」(ごま書房、1994年)──シャープの鋭い商品開発のドキュメント


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