前回の本連載でパナソニック「DMR-BW970」を取り上げたが、今日はそのライバル機と目されるソニー「BDZ-EX200」をクローズアップしてみよう。言うまでもなく両機はパナソニック、ソニーというBlu-ray Discのリーディングメーカーが満を持して発表した、2009年秋のBDレコーダーのトップエンド・モデルである。BDZ-EX200の発売は11月中旬とのことだが、最終試作段階の製品を入手できたので、そのインプレッションを中心にお伝えしたい。
ソニーのこの秋のBDレコーダーは全5モデル。BDZ-EX200の弟機として、HDD容量が1Tバイトの「BDZ-RX100」、同500Gバイトの「BDZ-RX50」、同320Gバイトの「BDZ-RX30」「BDZ-RS10」がラインアップされる。BDZ-RS10のみシングルチューナー、他はすべてダブルチューナー仕様だ。
これらニューモデルには「らくらくスタートメニュー」を新設されたり、本体ボタンを新たに設けて「カメラ取込み」とか「番組おでかけ」という直感的に分かりやすいネーミングに変更するなど、BDレコーダー入門層に受け入れられやすい工夫が随所に盛り込まれている。リモコンもワンクリックで「アクトビラ ビデオ・フル」に接続できたり、「みどころマガジン」が起動するなど、使いやすさに注力した変更が施されている。
ソニー製レコーダーで実際に使ってみてたいへん有用だと思った「おまかせ・まる録」機能も健在。これは好みのジャンル、キーワードを入力しておけば、レコーダーが自動的にそれに類する番組をどんどん録りためてくれる機能。番組表をあまり熱心に見ないぼくのようなタイプにはほんとうに便利なファンクションだ。2008年秋に発売された「BDZ-X100」をわが家のリビングルームで使っているが、今やお笑い芸人好きの中三の次女がほぼ独占的に使っていて、この自動録画機能によって各局で放送されるお笑いバラエティ番組を毎週ほぼ全制覇しているようだ(勉強せえちゅうのに)。
では、最上位機のBDZ-EX200の注目ポイントについて触れよう。本機のHDD容量は、昨年の「BDZ-X100」の2倍、パナソニックDMR-BW970と同じ2Tバイトとなった。2Tバイトというと、放送のストリームをそのまま記録するDRモードでBS放送の場合は約180時間、地デジの場合は約250時間の録画が可能だ。また、この秋のソニーBDレコーダーは、パナソニック機同様ハイビジョン放送の8倍録画を実現、このLRードを使うと1440時間の録画が可能になる(2層式BDに記録した場合は34時間)。
8倍録画時の平均ビットレートは3Mbps。たいへんな低レートだが、絵柄に合わせてダイナミックにレート割り当てを行なう「新ダイナミックVBR」アルゴリズムを搭載。フルHD解像度(1920×1080ピクセル)を維持しながら、なんとかハイビジョンの精細感を出そうと努力していることが分かる(BD-Rコレクションを前提にHDD録画しているぼくは使わないけれど)。
本機の投入された映像処理回路は、「CREAS 2 plus」とネーミングされた。これは昨年登場した14ビット高画質回路「CREAS」の進化ヴァージョン「CREAS 2」にプレミアモデル専用高画質回路を加えたものだ(弟機の映像処理回路はすべてCREAS2となる)。
昨年のCREASに対して今回のCREAS2はどこが進化したか。まず、画質モードに余計なエンハンス処理を加えない「ダイレクトモード」が新設されたことと「モニター別画質プリセット」が用意されたことが挙げられる(後述)。また、画質調整項目の中に黒の再現力を上げる「クリアブラック」が加えられたのも興味深い。これは、コンテンツやディスプレイによってバラつきのある黒レベルを補正する回路だが、単純に黒浮きに対処するためブライトネスを落したりガンマカーブをいじるというものではない。HDリアリティエンハンサーで生成された14ビットの1万6384階調のまま黒レベルを最適化し、それをスーパービットマッピング処理にて、階調情報の欠落が少なく、疑似輪郭の生じない8ビットの256階調に落とし込むという手法が採られているのだ。
そして、BDZ-EX200だけに用意されたplus高画質回路が「スムージングA」と「クロマアップサンプリングA」、それに「アニメCGリマスター」である。
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