デジモノ家電を読み解くキーワード
電子ブックの見かたを変える「電子ペーパー」
電子ペーパーはここが違う
電子ブックリーダーとして脚光を浴びている、Appleの「iPad」とAmazonの「Kindle」。テレビや雑誌を通して見るかぎり、両者の違いはカラーかモノクロか程度にしか感じられないが、実物を見るとKindleの電子ペーパーのほうがはるかに紙に近い質感を実現していることが分かる。
その理由の1つが、Kindleの電子ペーパーとして採用されている「E Ink」が、反射光で表示を得るということ。液晶パネルでは、基板背後にある光源から照射された光(透過光)を通じてものを見るが、E-Inkの方式は紙と同じ。太陽や照明器具が発する光にはいろいろな波長が含まれているため、人間の目にはより自然に映るというわけだ。
画面がチラつかないことも大きな特徴。液晶パネルの場合、表示するデータに変化がなくても毎秒数十回は画面を書き換えるため、チラつき(フリッカー)の発生は避けられないが、E Inkでは表示内容を更新しないかぎり同じ内容を保持し続けるため、フリッカー発生の余地がない。目が疲れないため読書向き、とKindleが評される理由だ。
画面の書き換え頻度が低いことは、消費電力が少ないというメリットにもつながっている。画面を更新するときの消費電力量は液晶パネルと大差ないものの、表示内容の保持には電力が消費されないため、文章のように動きのないコンテンツではトータルの消費電力量が少なくすむ。E-Inkの消費電力は、同サイズの液晶パネルの約10分の1といわれている。
カラー化は当分先か
E Inkが提供する表示技術の基礎にある仕組みが、「マイクロカプセル」だ。直径40ミクロンほどの透明なカプセル内には、黒・白2色の顔料粒子(インクパウダー)と透明な流動液が充填され、電圧をかけて粒子を移動させることにより表示装置として機能する。
一方、顔料粒子が黒・白2色ということは多色表示に対応しないことを意味する。E Inkはカラー化技術の開発も進められているが(→カラー版「E INK」は2006年末に登場)、画面の明るさが不足しがちなど改良の余地も多く、現在のところ普及モデルには採用されていない。
コレステリック液晶型モデルも登場する?
ここまでE Inkばかり取りあげてきたが、電子ペーパーにはいくつかの方式がある。大分類ではE Inkなどの「粒子移動型」と、電力を供給しなくても表示を維持できる液晶パネルを使う「コレステリック液晶型」の2種類があり、それぞれ長所・短所を備えている。
カラー対応という観点から電子ペーパーを見ると、2009年には富士通フロンテックからコレステリック液晶型の電子ブック対応端末「FLEPia」(フレッピア)(→カラー電子ペーパー端末「FLEPia」10万円で発売 Webや写真閲覧も)が発売されるなど、粒子移動型とは異なる展開もある。電子ブックは活字だけでなく、絵や写真を表示要素として持つだけに、今後のカラー対応は要注目だ。
執筆者プロフィール:海上忍 (うなかみ しのぶ)
ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
防衛省の「クーラー300台」投稿動画でビックカメラのトラックが注目を集める 同社「販売用の在庫を迅速に提供」
-
2
ドコモ、ahamoを30→40GBに増量 8月1日から 料金据え置きの新キャンペーン
-
3
ソニー、タムロン買収提案の狙いを説明 「イメージング事業の発展につながる」
-
4
一般消費者が「空調服」と書いたら商標権侵害? 公式Xの注意喚起が波紋、弁理士の見解は
-
5
「文スト」スマホゲーム、きょう告知→あす終了 突然のサ終にユーザー混乱 運営元の廃業で
-
6
セブン&アイ、共通会員IDのPayPay統合を正式発表 ソフトバンクや三井住友カードなどが計3000億円出資
-
7
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
8
「楽天ドライブ」アプリから「データ漏洩」「ハッキングした」通知? 運営元「緊急調査中」「通知を開かないで」
-
9
光学25倍ズームのソニー「RX10 V」はもう“レンズ一体型α” 1台で何でも撮れそうな万能感に浸れるぞ
-
10
タカラトミー、デュエマアプリで個人情報漏えいか 最大15万5000人分 氏名や住所など閲覧の恐れ
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR