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» 2011年04月22日 13時46分 UPDATE

初めてのヘッドフォンアンプ特集:iPodデジタル接続採用高級モデルの実力はいかに!? フォステクス「HP-P1」

HP-P1は、バッテリー内蔵のポータブルタイプでありながら、iPodとの接続にデジタルを採用した珍しいヘッドフォンアンプだ。iPodと一体で収納できる専用ポーチを付属するなど、キャリング性にも配慮している。

[野村ケンジ,ITmedia]

 HP-P1は、バッテリー内蔵のポータブルタイプでありながら、iPodとの接続にデジタルを採用した珍しいモデルとして、いま高い注目を集めているヘッドフォンアンプだ。

ts_fostexhpp01.jpg フォステクスの「HP-P1」

 基本的なスペックは、2010年に発売された据え置き型モデル、フォステクス「HP-A3」とほぼ同様となる。DACにはAKM(旭化成エレクトロニクス)製の32bit DAC「AK4480」をチョイス。加えて高性能オペアンプなどその他のパーツも厳選しつつ、A3で培った高音質化技術を積極的に導入することで、ポータブルとしては望外の仕様となった。

ts_fostexhpp02.jpgts_fostexhpp03.jpg 入力端子はiPod接続専用のUSB端子のほか、アナログ入力も用意

 入力端子はiPod接続専用のUSB端子のほか、アナログ入力も備わっている。また出力端子は、ヘッドフォン用に加えてアナログ、光デジタル出力も用意されており、アウトドアだけでなく屋内でも、iPod用DACやデジタルトランスポートとして活用できるよう配慮されている。

ユーザビリティー

 75(幅)×25(高さ)×130(奥行き)ミリというボディーサイズは、ポータブルとしてかなりの大きさ。上部にちょっとしたくぼみを持つデザインを採用し、iPhoneやiPod classicが座りよく収まるようにしていたり、またiPodと一体で収納できる専用ポーチを付属するなど、キャリング性に関しては随所に工夫が施されている。こういった配慮のおかげもあってか、実際使っていてサイズによる不便さはそれほど感じない。とはいえ、絶対的な大きさからいって、デフォルトの収納スペースはカバンの中になるだろう。ちなみにiPod nanoとの組み合わせであれば、なんとかジャケットのポケットに収納することはできる。

ts_fostexhpp06.jpgts_fostexhpp04.jpgts_fostexhpp05.jpg ボディーサイズは75(幅)×25(高さ)×130(奥行き)ミリ。iPodと一体で収納できる専用ポーチが付属する

 プレーヤーからの入力は、iPodとデジタル接続するための専用USB端子だけでなく、アナログ入力端子も用意されている。このため、iPod以外のポータブルプレーヤーとも接続可能で、一般的なポータプルヘッドフォンアンプとしても活用することができる。もちろんメインはiPodだろうが(でなければもったいない)、そういった柔軟性を用意してくれているのはありがたいかぎりだ。

 もし大きさのほかに不満を挙げるとすれば、約5時間の充電で連続動作時間が約7時間と少々短めなことだろうか。通勤などの途中で電池切れにはならない程度の動作時間は確保されているものの、もう少し余裕があるとうれしい。

サウンドの特長

 今回の特集では、今回の製品のみ価格帯が違う(6万5000円)。クオリティーを求めるなら、このような選択肢もあるという例に取り上げたのだ。

 iPodデジタル接続のクオリティーを知っているだけに、ある程度の予想はしていた。しかし実際に試用してみると、結果としてはそれを上まわる素晴らしいサウンドを体験できた。

 とくに解像度の高さやひずみの少なさに関しては別次元。アコースティックギターはカッティングのエッジがとても鋭くなり、同時に胴鳴りの響きがとても複雑かつ豊か。ヴォーカルも顕著に変化し、ベールを数枚剥いだかのようにダイレクト感の増したうえ、声の通りも一段と良くなっている。そのため、歌に乗せた感情がより強く伝わってきて、さらに音楽に没頭できるようになった。

ts_fostexhpp07.jpgts_fostexhpp08.jpg デジタル接続用のケーブルなどが付属する

 これの音を聴けば、誰もが「iPodにここまでの音が入っているの!?」と驚くことだろう。ここまでくると、他のポータブル・ヘッドフォンアンプとは、全く別のカテゴリーに属する製品といってもいい。そう言いきるほどに、HP-P1のサウンドクォリティーには目を見張るものがあった。

 特集のはじめで、iPodのヘッドフォン出力とドック出力では音質にかなりの開きがあるということをいわせてもらったが、HP-P1の音を聴くかぎり、アナログとデジタルの差はそれ以上だ。あえて音楽ファイル形式に例えるならば、高圧縮(128kbps以下)のMP3とWAVを聴き比べているかのよう。人によっては別の録音と勘違いしてしまうかもしれない。

 もちろんこれは、デジタルとアナログの違いだけでなく、HP-P1の優秀さあってこそ。とにかく素直な音色で、バランスの悪さや歪みをいっさい感じない点には好感を抱く。しかしなかには、この音を素っ気ないと感じる人もいるだろう。そういった場合は、HP-P1はアナログ出力もかなり優秀なので、そこに愛用のヘッドフォンアンプを接続した、いわゆる「3段構え」を試してみるのも良い。ポータブルプレーヤーでは体験したことのないような、ハイクォリティーサウンドを堪能できるはずだ。さすがにそこまですると、ポータブルという定義からはかなり外れたサイズになってしまうが、そこまで試してみる価値のあるサウンドであることは約束しよう。

音質評価  
解像度感 (粗い−−−−○きめ細かい)
空間表現 (ナロー−−−○−ワイド)
帯域バランス (低域強調−−−−○フラット)
音色傾向 (迫力重視−−−−○質感重視)

製品名 HP-P1
SN比 データなし
適応インピーダンス 16オーム以上
ひずみ率 データなし
出力 80ミリワット+80ミリワット(32オーム時)
電源 充電式リチウムイオン電池
本体サイズ 75(幅)×25(高さ)×130(奥行き)ミリ
重量 約260グラム
価格 6万5000円


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