オーディオテクニカの「AT-PHA31i」は、音量や曲送り、再生/一時停止などのコントローラーを持つヘッドフォンアンプで、ドックコネクターによる接続を採用している。これにより高音質な音声信号を活用できることに加え、電源も不要となっている点も大きなメリットだ。また本体裏側にはクリップを装備、自由な場所に装着できるとともに、ケーブルのタッチノイズを軽減する役割も果たしている。
ボディカラーはブラックとホワイトの2色に加え、限定モデルとして「ATH-CKS90LTDII」とカラーリングをそろえたブルー×ブラックバージョンもラインアップされている。
今回紹介する製品のなかでも、ずば抜けて操作性は高い。なぜなら、ほとんどワイヤードリモコンと呼んでも差し支えない機能性を持ち合わせているからだ。さすがにプレイリストやアルバム選択まではできないが、曲送りや一時停止、ボリューム調整は思いのまま。「iPod classic」など、操作時にいちいちポケットやカバンから取り出すのが面倒なサイズのプレーヤーにはもってこいといえる。
四角い薄型デザインのボディーは、胸ポケットから内ポケットまで、どこに入れてもかさばる心配はない。クリップも付属するので、ほぼ好み通りの活用ができるはずだ。強いてマイナスポイントを上げるとしたら、もともとドックコネクター+ケーブル一体型なので、長さに制限があることくらい。しかしこれは、置き場所の工夫でなんとでもなるだろう。
ただのリモコンと侮るなかれ。さすがはオーディオテクニカというべきか、機能性の高さに甘えることなく、ヘッドフォンアンプとしてのクォリティはしっかり確保されている。
まず「iPod nano」とShureの「SE535」と組み合わせたサウンドは、明らかにきめが細かくなった。同時にダイナミックさも少し向上している。これはドックコネクター出力ならではの恩恵だろうが、同時にそれを生かせるAT-PHA31iのメリットといえる。
絶対的なボリュームもずいぶんと大きくなった。フィリップス「SHE9900」はドライバーが動ききったとまではいかないものの、低音の押し出しが多少改善された印象を覚える。それよりも特質なのが、ボーカルの存在感だ。ソニーの「MDR-Z1000」では低域の支えを得て中域の充実感がまし、歌い方のニュアンスがかなり伝わってくるようになった。Jポップ、特に女性ボーカルをよく聴く人には、なかなかのマッチングといえる。
あるなしでいえば、あった方が断然音楽が楽しくなる、そんなヘッドフォンアンプ本来の役割に徹した、まじめな製品といえるだろう。
音質評価 | |
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解像度感 | (粗い−○−−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−○−−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−○−−−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視○−−−−質感重視) |
製品名 | AT-PHA31i |
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SN比 | 95dB以上 |
適応インピーダンス | データなし |
ひずみ率 | 0.05%(32オーム、1kHz) |
出力 | 20ミリワット+20ミリワット(32オーム、1kHz) |
電源 | iPod本体から給電 |
本体サイズ | 35(幅)×45(高さ)×12(厚さ)ミリ(コネクター部)、26(幅)×22(高さ)×8(厚さ)ミリ(ドックコネクター部) |
重量 | 約20グラム(コード約0.5メートル含む) |
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