ITmedia NEWS >

欧州向けUltra HD BDプレイヤー「DMP-UB900」はどんな製品? 開発担当者に聞いてみたCES 2016

» 2016年01月08日 16時29分 公開
[山本敦ITmedia]

 パナソニックが今年のCES会場に初のUltra HD Blu-rayディスクの再生に対応するプレイヤー「DMP-UB900」を出展した。本機はどんな製品なのだろうか。今回パナソニックブースにて、“DIGA”(ディーガ)シリーズをはじめBDレコーダーやプレイヤーの開発を担当する甲野和彦氏をたずね、詳細をうかがった。

本機の開発に関わったパナソニックの甲野和彦氏

 本機はアメリカの展示会で発表された製品だが、基本的には4Kに意識関心の高い欧州市場向けに、ハイエンドクラスのプレイヤーとしてリリースされるものだ。発売時期は今年の春頃を予定しており、1000ユーロ(約12.8万円)を切るぐらいの価格で発売される予定だ。

CESのパナソニックブースに展示されているUltra HD Blu-rayプレイヤー「DMP-UB900」

 では、日本で同様のUltra HD BDプレイヤーがパナソニックから発売される可能性はあるのだろうか。甲野氏は「今回のイベントではコメントはできない」とし、その可能性を完全に否定することはなかった。実現すれば2010年にパナソニックが発売した、画質にこだわったBlu-ray 3D対応のプレイヤー「DMP-BDT900」以来のハイエンドクラスの単体ディスクプレイヤーとなる。

 コアとなる4KエンジンにはUltra HD Blu-rayディスクの再生に最適化したものを搭載する。国内では昨年末に発売された“DIGA”のフラグシップ「DMR-UBZ1」と同等クラスのものになると甲野氏は説明する。「4K/4:2:0」映像信号の入力を受けて「4K/4:4:4」映像にアップコンバートする「4K High-Precision Chroma Processor」が採用されているが、これはDMR-UBZ1でいうところの「4Kリアルクロマプロセッサplus」に相当するものだ。また2K/4:2:0映像再生時の「4KダイレクトクロマアップコンバートPlus」に相当する「4K Direct Chroma Up-scaling」も搭載する。THX認証も取得する予定だ。

フロントパネルのカバーを開けたところ

 コンテンツ再生時の音質にもこだわった。本体には大容量電解コンデンサーやLANコモンモードフィルターなど高音質コンポーネントを惜しみなく盛り込み、DLNAネットワークを介して最大192kHz/32bitまでのハイレゾ再生が楽しめるDACも内蔵する。ハイレゾ再生は5.6MHz/2.8MHzのDSDやWAV/FLAC/ALAC形式のファイルをカバーしたほか、192kHzまでのアップサンプリング機能も搭載。DIGAシリーズに搭載される真空管サウンドのエミュレーター機能「真空管サウンド」には6種類のテイストが用意されている。「全体の音質設計はDMR-UBZ1の音づくりに関わった当社のエンジニアが担当している」と甲野氏は説明する。

 HDMIからの音声は「HDMI低クロックジッターシステム」により低ノイズ化。映像と音声を分離出力できる2系統のHDMI端子が搭載されている。7.1chのアナログオーディオ出力も贅沢に設けた。底部には樹脂製だがインシュレーターも付いている。

本体を上から見ると奥行きサイズがコンパクトに作られていることが分かる

 4K/HDRに対応していない4Kテレビを所有するユーザーがこのプレイヤーを購入することもあり得る。そのためHDRのソースのダイナミックレンジをSDRに変換するダイナミックレンジ変換調整機能ものせて、HDMIで接続したテレビが表示可能な輝度のレンジに合わせて、ユーザーがマニュアルで好みの映像に追い込める。設定はメニューから±12のステップで細かく追い込むことができる。

国内で販売中のUHD BD再生対応BDレコーダー「DMR-UBZ1」

 DIGA「DMR-UBZ1」もコンテンツ再生時の画質・音質の高品位に妥協のない再生機だが、ユーザーごとに異なる多様な視聴スタイルに合わせてUltra HD Blu-rayの高品位な再生にこだわった再生専用機が出てくれば、日本国内でもポジティブに受け入れられるに違いない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.