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努力せずに女子力を上げる家電、収入を1.5倍にした冷蔵庫など――三菱電機のスゴい技術を見てきた滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(1/5 ページ)

» 2016年02月25日 08時00分 公開
[滝田勝紀ITmedia]

 三菱電機が毎年開催している「研究開発成果披露会」が今年も開催された。33回目を数える今年は、「IoT」や「快適空間」、「安全・安心インフラ」などジャンル別に全25種類の新技術やコンセプト製品が展示された。今回はその中から、近未来の白物家電に直結しそう技術やコンセプト展示を中心に紹介しよう。

世界初! 1つのセンサーでPM2.5から花粉、ホコリまで検出可能

センサー本体は見た目にもかなり小さく、外観だけでは「世界初!」にはまったく見えない

 まずは世界初の小型センサー。コンパクトな筐体(きょうたい)ながら、PM2.5をはじめ、ホコリや花粉などの微粒子の濃度をたった1つのセンサーで高精度に検出できるというからスゴイ。これまで同様のことをするには、両手の手のサイズぐらいの粉じん測定器で可能だったが、価格も100万円以上する高額な機器のため、家電への転用は難しかった。

デモンストレーションでは煙をセンサーに検知させていた。瞬時にPM2.5レベルの粒子と識別していたことが分かる

 このセンサーは、67(幅)×49(奥行き)×35(高さ)mmと、手のひらに収まる程度のサイズで、見た目にもかなりコンパクト。いわゆるダブルミラー構造で、その間を通る空気にレーザー光を照射し、PM2.5などの微粒子に当たることで生じる各散乱光をセンサーで検出、粒子の数や量を正確に把握するという。

 散乱光の違いを検知するのは、独自開発の形状判別アルゴリズムで、同じような大きさでも形状の異なる花粉やホコリの識別も可能とのこと。このレーザー光が微粒子に当たることで生じる散乱光の偏光特性の違いを1つの光学系システムで識別し、濃度まで検出できるところが、“世界初”のポイントだ。

粉塵測定器との検知精度の比較をしても、ほとんど差がない精度であることが分かる
小型センサーの仕組み本体をサイドから見た説明図(上)と、上から見た説明図(下)。上下に集光ミラーを配置した間にレーザーを照射。吸い込まれた空気が通る際、空気に混じっている微粒子にレーザーが当たると散乱光が生じ、その形状や大きさなどを光検知器でチェックすることで、その微粒子がPM2.5、ホコリ、花粉など、それぞれ独自開発の形状判別アルゴリズムで識別する

 今後は一般家庭で使用されるエアコンや空気清浄機などの空調機器などに組み込むことはもちろん、ビル、病院、工場、車といった清浄度の高い空気が求められる施設にも展開される予定とのことだ。

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