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放送とネットをつなげる新しいラジオ「Hint」、ニッポン放送などが開発(1/2 ページ)

» 2016年07月20日 16時29分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 ニッポン放送とcerevo、グッドスマイルカンパニーは7月20日、全く新しい形のラジオ「Hint」(ヒント)を発表した。近未来的なデザインに加え、ラジオ放送を受けてスマートフォンにURLを配信する新しい仕組みを備えた。同日よりクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」でサポーターの募集を開始している。サポートプランは2万1500円(税込から)。

左からニッポン放送アナウンサーの吉田尚記氏、デザイナーのメチクロ氏、cerevoの岩佐琢磨社長、グッドスマイルカンパニーの安藝貴範社長

 「カッコいいラジオが欲しい」という思いでニッポン放送のアナウンサー、吉田尚記氏が立ち上げたプロジェクト。製品コンセプトは製品名の由来にもなっている「気配」(Hint)だ。「ラジオの魅力は、寂しさを消してくれるが、過剰に干渉しないところ。寂しくはないが、煩わしくもない。人の気配を伝えるラジオにしたかった」(吉田氏)

 そのコンセプトを形にしたのが、フィギュアメーカーとして知られるグッドスマイルカンパニーとデザイナーのメチクロ氏だ。ハードウェアの仕様設計や試作機の開発はcerevoが手がけた。cerevoの岩佐琢磨社長は、「最初は『なぜ今ラジオ?』と思ったが、cerevoは“昔からあるもの”を最新技術でガラッと変えることにも取り組んでいる。“古き”があるからこそできるイノベーションだ」と話している。

BluetoothスピーカーにもなるFMラジオ

 HintはワイドFM(FM補完放送)対応のFMラジオであり、Bluetooth 4.2経由でスマートフォンの楽曲を再生するBluetoothスピーカーでもある。さらにPodcastや各種ストリーミングサービス、radikoプレミアムにも対応する予定。スイッチオンですぐに音が出る起動の速さも特徴だ。

「Hint」の通常カラーはフロストシルバー。チューニングなどの操作は上部リングで行う

 「外観からラジオだと分かる人はいないと思う」(吉田氏)という80(直径)287(高さ)mmの円筒形ボディーは、上向きのフルレンジスピーカーと円すい形のディフューザーを備え、360度に音を広げる無指向性スピーカーになっている。音質については、「Bluetoothスピーカーにもなるのでオーディオも聴けるようにしているが、まずは人の声がしっかり聞こえるようにする。バスレフ式の採用も検討中」(岩佐氏)。本体重量は約950g。電源はリチウムイオン充電池で、連続4〜6時間の使用が可能だ。ACアダプターも付属する。

 もう1つの大きな特徴が、ニッポン放送の関連会社であるトーンコネクトのToneconnect(トーンコネクト)技術と米GoogleのEddystone(エディストーン)を組み合わせ、ラジオ放送を介して手元のスマートフォンにURLを配信する機能を持たせたこと。もちろんラジオとしては初の試みだ。

 トーンコネクトの代表取締役CMOを兼任している吉田氏は、「放送局から電話のダイヤル音(DTMF音)を音声として送信する。“ピポパポ”という音を受信するとHintのLED発光が変化するとともにBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンが書き換わり、近くのスマホにURLをBluetoothで自動転送する」と説明する。

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