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ライブドア、イーバンクの“脅迫”音声鑑定結果は「クロ」

» 2004年03月29日 16時34分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ライブドアとイーバンク銀行の提携問題に絡み、ライブドアがイーバンクの松尾泰一社長からのメッセージだとして公開した脅迫めいた音声を、イーバンク側が「偽造の可能性が高い」と反論していた件(関連記事を参照)で、ライブドアは3月29日、都内で会見を行い、「音声は松尾社長本人のものだという専門機関の鑑定が出た」と発表した。

 ライブドアは、声紋鑑定の専門機関・日本音響研究所に同音声の鑑定を依頼。「音声に編集された形跡は見当たらず、松尾社長のものだと推定する」とした鑑定書のコピーを報道機関に配布した。

photo 声紋鑑定書のコピー

 ライブドアは、昨年10月22日にイーバンクとの提携を発表(関連記事を参照)。約35億円を出資して筆頭株主になったが、その後、方針を巡って対立。イーバンクは今年2月9日に提携解消の意向を示していた。翌2月10日にはライブドアが、「イーバンクに対し株主権の行使などを検討している」とした上で、「イーバンク代表者からライブドア取締役の携帯電話に残された」とする脅迫めいた音声メッセージをWebサイトで公開。イーバンクが「同音声は偽造の可能性が高い」と反論したため、ライブドアは専門機関に声紋調査を依頼していた(関連記事を参照)。

 今回の声紋鑑定の結果を踏まえ、ライブドアの堀江貴文社長は「イーバンク側が嘘を言っていることがはっきりした。誠意ある対応を求めたい」と繰り返した。出資契約書に従って、ライブドアが提案した経営改善策の受け入れや、役員の相互派遣を求めている。

 この件に関してイーバンクは「録音音声についての見解は、2月18日に発表した通り、偽造の可能性が極めて高いとの認識。ライブドアへの対応はこれから検討する」(広報)としている。

photo 「ライブドアの提案を受け入れることは、イーバンクの利益になるはずだ」と堀江社長

イーバンクの銀行免許がライブドアには必要

 ライブドアがイーバンクからの出資を引き上げれば解決しそうな本件だが、ライブドアにそのつもりはない。「インターネット決済はこれから伸びる分野。特に、メールアドレスを使って簡単に送金ができるイーバンクの『メルマネ』は、認知を広めれば爆発的に普及する」(堀江社長)。メルマネのサービスを提供するには銀行免許が必要なため、ライブドア単独では不可能だ。

 イーバンクは3月23日、松尾社長ら経営陣が新株引受権を行使して持株比率を13.33%に高めたことを明らかにしている。ライブドアとその関連ファンドの持株比率は12.07%まで下がり、筆頭株主の座は失った。

 ライブドアは、事態の経緯を公開し続ける理由を「ライブドアは上場企業として、イーバンクは数十万人単位の顧客を持つ銀行として、説明責任を果たす必要がある。企業間取引のトラブルも隠さないことが“大人として誠実な態度”だ」と説明している。

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