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「契約を勝ち取れ!」――バルマー氏、MSパートナーに檄(2/2 ページ)

» 2004年07月16日 15時53分 公開
[IDG Japan]
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 デスクトップについても、同社は大規模アップグレードを目指している。今でもデスクトップ上で旧バージョンのWindowsを使っている企業は多い。昨年10月、「Gartner Symposium」の参加者を対象とした調査によると、Windows XPが登場して3年が経過しているにもかかわらず、同OSにアップグレードしたと答えたのはわずか14%だった。調査に応じたのは186人で、彼らの企業は合計で170万台以上のPCを保有するという。

 MicrosoftはユーザーがWindowsとOfficeの従来版から「Windows XP」および「Office 2003」にアップグレードするのを支援するチャネルパートナーに5000万ドルの資金を提供する(7月13日の記事参照)。さらに、デスクトップの配備(デプロイ)を専門とする新スタッフを全世界で57名追加。これらのスタッフは、同社のパートナーが顧客にアップグレードを促すのを支援する。

 この取り組みは、7月1日から始まったMicrosoftの2005会計年度における基本販売戦略の一環となるもの。バルマーは先週、従業員にあてた年次戦略信書の中で、Microsoftは「顧客の認識、例えば、旧バージョンのOfficeとWindowsでも十分間に合うという認識を改めさせるために努力しなければならない」と述べている(7月7日の記事参照)。

 またMicrosoftでは、デスクトップ配備にフォーカスした2つの新しいサブコンピテンシーをMicrosoft Partner Programに追加する方針だ。「Desktop Deployment Solution」は、「Networking Infrastructure Solutions」コンピテンシーの一部として中規模企業を対象とし、「Desktop Lifecycle Management」は「Advanced Infrastructure Solutions」コンピテンシーの一部として大企業を対象とする。

 認知度は多くのパートナーにとって重要だ。マーケティング費用の拡大により、パートナーは顧客の目に付きやすくなるだろう。さらにMicrosoftはほかの計画も発表している。同社は自社サイトを変更して、見込み顧客がGold Certifiedパートナーを見つけられる新しいパートナー検索エンジンへのリンクを掲載する予定だ。

 また、Microsoftと共同マーケティングを行うパートナーを支援するために、同社は年内にマーケティングツールを提供開始する。このオンラインツールにより、パートナーは標準的なMicrosoftの広告を使って、テキストをカスタマイズしたり、自社のロゴを加えたりしてマーケティングキャンペーンを作成・管理できる。

 さらにMicrosoftはパートナー向けに低価格のトレーニングプログラムを提供する。最大40人の営業・マーケティング担当者が、1人500ドルでオンラインの「Microsoft Solutions Selling」トレーニングを受けられると同社は説明している。また新しい「Channel Builder」ツールでは、パートナーが互いに情報を共有することができる。

 ISVに対して、同社はサービスやツールに以下のような強化を加えている。

  • ISVがMicrosoft技術を自社製品に簡単に組み込む方法を提供する「ISV Royalty Program」。

  • ISVとMicrosoft社員を引き合わせて、開発、営業、マーケティングにおける技術サポートとリソースへのアクセスを改善する新しい「ISV Buddy Program」。

  • ISV向けの「Windows Error Reporting」。これによりISVは、Windowsのエラーレポートツールを使って、ユーザーが自社アプリケーションで体験した問題についての情報を収集できる。

  • Microsoft Developer Network(MSDN)サイトにISV向けの特別セクション「ISV Community on MSDN」を設置。

  • 25カ国以上で四半期ごとに行われる「ISV Community Days」セミナー。Microsoftが技術ロードマップを披露する。

 Worldwide Partner Conferenceに参加したパートナーは、おおむねMicrosoft幹部の話に夢中になっていた。彼らは特に、ネットワーク作りやMicrosoft幹部から直接同社の戦略を聞く機会を重視していた。

 独SoftEd SystemsのCEO、マティアス・タウブリヒ氏は次のように語った。「Microsoftの将来の計画を聞くのはいいことだ。自分たちのビジネスを調整したり、その計画を活用できる。私にとって、このイベントに参加することは、自分のビジネスの水準を測る機会にもなる」

 独SPCのヘルムート・シュトッベ氏も同じような意見だ。「ここでは大まかな展望をつかめる。ここでしか得られないものだ。Microsoftがパートナーと交流する機会をもっと見つけてくれればいいのに。ドイツでは、Microsoftの取り組みを整理するのが難しいことがある」

 タウブリヒ氏とシュトッベ氏は、トレーニング会社を経営している。SoftEdは顧客向けに、Microsoftプラットフォーム向けの開発作業も行っている。

 Microsoftは次回のパートナー会議を、来年7月8〜10日に米ミネアポリスで開く予定だ。

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