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20世紀フォックスを味方に付けたBlu-ray陣営

» 2004年10月05日 13時03分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Twentieth Century Fox FilmはBlu-ray Disc Association(BDA)に加盟したが、Blu-ray Discフォーマットで自社の映画をリリースすると確約するには至っていない。同社は10月4日、このように語った。

 「現時点では、当社のコンテンツをこの(Blu-ray Disc)フォーマットで提供すると確約できる状態ではない」とFox技術部門の特別顧問マイケル・オニール氏。同氏はこの日、東京で始まったBDAの設立総会前の記者会見で語った。

 Foxはこのフォーマットを研究し、Blu-ray Discの違法コピーを防止する著作権保護技術を開発するためにBDAの一員になったと同氏は語った。

 「唯一合意したのは、このフォーマットの開発で協力するということだ。今後の可能性については非常に前向きに考えている」(同氏)

 Blu-ray DiscとHD DVDの各陣営がメーカーや大手映画会社との提携を模索する中で、今回のFoxの動きにより、Blu-ray DiscはHD DVDフォーマットに対抗する上で重要な支持を得たことになるとソニーの業務執行役員常務、西谷清氏は語った。

 4日の総会は、Blu-ray Disc Foundersの刷新版であるBDAの初の会合となった。Blu-ray Disc Foundersはソニーを筆頭に、Dell、Hewlett-Packard(HP)、日立、LG Electronics、松下電器、三菱電機、Philips Electronics、パイオニア、Samsung Electronics、シャープ、TDK、Thomson Multimediaの13社で構成されていた。

 FoxはBlu-ray Disc Foundersに代わるBDAで14番目のボードメンバーとなった。BDAの目的はBlu-ray Disc技術を推進し、大容量次世代DVDのデファクトスタンダードにすることにある。Foxは「タイタニック」「スターウォーズ」など、人気映画シリーズを幾つか配給している。

 「これはBDAにとって大きな意味を持つ。Foxはハリウッドでも突出した存在だ。今やパッケージメディアは鍵となる分野であり、これがほかの分野の発展につながるだろう」(西谷氏)

 BDAは、4日の時点での加盟企業は73社としている。

 ソニーは、Blu-ray Discフォーマットでリリースする可能性のある多数の映画のバックカタログを有している。同社は先月、Metro-Goldwyn-Mayer(MGM)を買収し、既存のカタログに追加した。先月下旬にはソニーコンピュータエンターテインメント(SCEI)が、PlayStation 3(PS3)はBlu-ray Discフォーマットに対応すると発表した(9月21日の記事参照)

 これに対してライバルのHD DVDフォーマットは、当初NECと東芝が支持していた。8月には三洋電機が同フォーマット向けのコンポーネントとプレーヤーを製造することを明らかにした(8月31日の記事参照)。HD DVD陣営に加わった日本の大手家電メーカーはこれで3社となった。

 これら企業は先月末、DVDディスクメーカーのMemory-Techと共同で、独自に団体を結成することを発表した(9月27日の記事参照)。東芝は、2005年10〜12月期にHD DVDプレーヤー・レコーダーが市販開始されるとしており、プレーヤーの価格は1000ドルを切る見通しという。

 HD DVDフォーマットの技術仕様はほぼ完成している。家電メーカー、エンターテインメント企業、ソフトメーカー、関連企業220社でつくるDVD仕様策定団体DVD Forumは先月末、書き換え可能なHD DVDフォーマットの物理ディスク仕様を承認した。これは同フォーマットの量産に向けた重要な一歩となる。

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