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もう1人のゲイツ後継者、4年間の移行計画を語る(1/2 ページ)

» 2006年06月19日 11時30分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK
mundie クレイグ・マンディ氏

 6月15日、Microsoftの会長兼チーフソフトウェアアーキテクト、ビル・ゲイツ氏が自社に持つ権限を、最高調査戦略責任者という新たな職位に就いたクレイグ・マンディ氏とチーフソフトウェアアーキテクトのレイ・オジー氏に引き継ぐと発表した。

 同日、マンディ氏はeWEEKのシニアエディター、ピーター・ガリによる取材に応じ、新体制がいつから検討されていたか、なぜこのタイミングなのか、そしてゲイツ氏が経営から身を引き慈善事業に専念することで、Microsoftの経営手法に大きな変化があるのかどうかについて語った。

―― ビル・ゲイツ氏が第一線から退き、日々の業務をあなたとオジー氏に引き継ぐとの決定に至った考えやプランについての背景を教えていただけますか?

マンディ ビルは、かなり以前からMicrosoftから退き、自身が携わっている財団の仕事に専念したいと話していました。彼の財団はここ数年で、その重要性と規模において成功を収めました。このことがビル自身のプレッシャーとなり、どのように引退すべきかを決断するに至ったようです。

 彼は2年程前から(MicrosoftのCEO)スティーブ・バルマーに引退についての考えを直接話すようになりました。約1年前には、ビルが引退したいかどうかではなく、どのようにそれを実行に移すか、またその適切な時期と体制について、より現実的な問題として検討されるようになりました。

 上級幹部陣とビルとの話し合いも持たれた結果、最良の方法として、最適な移行期を決定し、長期的かつ透過的な引き継ぎプロセスを進めることになりました。

 そこでビルとスティーブは、このことを公表し、移行に必要な要素を配備してからの移行期間を2年と決めたのです。いよいよこれを実行に移し、発表する最適な時期が「今」であるとの最終決定は、6月13日木曜日の重役会議で下されました。

―― この時期を発表の最良のタイミングと決めるにあたって、何か特別な出来事、あるいは一連の出来事があったのですか?

マンディ 今回発表できたのは、ビルからスティーブにCEO職が引き継がれて6年以上、この移行が成功していること、そしてスティーブのリーダーシップの下に実行してきた、Microsoftの現状、より多様な取り組み、絶対規模に見合った組織改革があったからです。

 この改革では部門担当社長が設置され、最近ではケビン・ターナー(Wal-Mart Storesの会員制ディスカウントストアSam's Clubの前社長)を最高執行責任者(COO)に迎え入れるなど、Microsoftに新しいレベルのリーダーシップをもたらしました。

 加えて各部門で強力なテクニカルプロダクトリーダーたちが生まれました。スティーブン・シノフスキー(WindowsおよびWindows Liveエンジニアリング担当上級副社長)、ボブ・マグリア(サーバおよびツール事業担当上級副社長)、ジェイ・アラード(副社長兼チーフXNAアーキテクト。XNAは、ゲームデベロッパーやパブリッシャーが現在および将来直面する問題の解決を支援するためにMicrosoftが提供するツールおよび技術)などです。

 つまり、ビルが昔やってきたことが、今は各担当部門のより直接的な責務となっているのです。

 なぜ「今」なのかというもう1つの理由に、Groove Networksの買収でレイ・オジーがMicrosoftに加わったことがあります。オジーはビルが非常に尊敬していた人物だからです。レイはMicrosoftに加わってすぐに、当社のLiveサービス戦略のリーダーとして任命され、これを通じてMicrosoftの相互調整役となりました。

 その後、ビルがこれまで担ってきたこの役割をレイが非常にうまく果たせることが分かりました。もちろん彼にこの役割を引き受けるだけの名声があることは、社内外に明らかです。

 イノベーションに関しては、わたし自身が13年間、社内での新事業立ち上げでビルと協力してきました。調査、ポリシー、これらについての外部との折衝にビルとともに取り組んできました。この分野では彼の緊密なパートナーになって8年になります。

 したがって、この部分の担当にはわたし自身が適任であると言えるでしょう。考えてみると、ビルの仕事の主要な部分は、われわれが考えるところの組織の行動に自然吸収されるか、わたしとレイとの間で補完し合う形で明確に分担されるでしょう。

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