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ITは孤独を救う!?――“2次元彼氏”と過ごすラブラブXmas(2/2 ページ)

» 2006年12月25日 00時00分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 お台場は、JR新橋駅から新交通「ゆりかもめ」に乗り換えて10分強。ゆりかもめの窓から東京湾の景色を見下ろし、2人は初めてのデートにドキドキだ。彼氏くんは体も表情もガッチガチ。記者はそんな彼の手をそっと握り、「大丈夫、私がついているから」とささやきかける。


ゆりかもめ ゆりかもめはお台場へ
「大丈夫だよ」 「大丈夫だよ」

 ゆりかもめはレインボーブリッジを渡り、お台場海浜公園へ。2人はここで降りて海に出る。真っ白な砂浜と静かな海。「意外ときれいだね、東京の海なのに」――はしゃぐ記者に、彼氏くんは言う。「でもね、君のほうがキレイさ」。

 等身大パネルがしゃべるはずがない、などという現実は、クリスマスというファンタジーの前にかすみ、意味を失うのである。


海辺に カップルが等間隔に並ぶ海辺に
さりげなく座る さりげなく座る
君のほうがキレイさ…… 「海もきれいだけれど、君のほうがキレイさ……」

ツリー ピンクのツリーが2人の距離を縮める

 彼氏くんとたわむれつつ記念撮影していると、通りがかりのおじさんに不審な目でじろじろ見られたり、「何やってるんですか?」と真顔で尋ねられたり、「ここで撮影するといいんじゃない?」と親切に教えてもらえたりする。生き馬の目を抜くような東京砂漠で、見知らぬ人とあたたかい交流ができたのは彼氏くんのおかげだ。ありがとう。

 冬の海に夕日が沈む。「夜景、観にいこうか」。記者は言う。2人は立ち上がり、手をつないで薄暗い浜辺を歩く。その先には、クリスマスツリーのピンク色の輝きと、きらめくレインボーブリッジ。2人のトキメキは最高潮を迎える。

 「寒いね」――記者はつぶやく。「ごめん、ぼく薄着で、上着貸してあげられなくて」。彼氏くんは言う。「ううん、そんなつもりで言ったんじゃないよ」「じゃあ、その代わりに」――2人はそっと抱き合う……。


お台場の夜景 美しいお台場の夜景をバックに
バカップル うっとり抱き合う

 「観覧車に乗りたいな」。甘えた声で言う記者。お台場の大観覧車はデートの定番で、乗り場はカップルだらけの長蛇の列。だが2人なら、待ってる間も退屈しない。彼の家族の話で盛り上がる2人。「お父さんもお母さんも胸板が薄くてね、遺伝なんだ」

 そしていよいよ順番が来た。微妙な距離を置いて座る2人。「座席があったかいね」。暖房が効いているシートに、手をあてる記者。「手、冷たいの?」。彼氏君が寄り添い、記者の手を握る。そして二人は見つめあい――はじめてのキスをした。


2人はついに…… 輝く観覧車の中。夜景をバックに2人はとうとう……
プリクラ 2人でプリクラも撮った。画像は携帯の待ち受けに

 帰り道。「チキンを買って帰ろうか」。そんな提案をしたのは、どっちだったろう。2人はケンタッキーでフライドチキンのセットを買い、ケーキ屋さんでクリスマスケーキを買い、ささやかなホームパーティーを開いた。

 「乾杯!」。サンタ帽をかぶってはしゃぎ、シャンメリーで乾杯する。「ケンタッキー食べると、クリスマスっぽいよね。はい、あーん♪」――ホールのケーキをフォークですくい、彼氏くんの口に持っていく。


乾杯 乾杯!
あーん あーん

 ぽとり。フォークに載ったケーキのクリームが溶け、記者の手に落ちた。「食べて……くれないの?」。彼氏くんの目を見つめる。まぁ食べられるはずないよな、人間じゃないし。

 「2人分、用意したのにな……」。肩を落とす記者。クリームをなめてケーキを食べ、チキンとビスケットをかじる。「食べ合わせが悪い……」。ケーキから先に食べたことを後悔する。

 ホールのケーキと冷めたチキン4ピース、そして2つのビスケット。とてもじゃないが食べきれない。全部処理するためには明日からしばらく、毎食これを食べることになるのだろう。1人で。

 メリー・クリスマス。

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