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(2)イベント会場でマジックで塗るということ同人誌と表現を考えるシンポジウム(1/5 ページ)

» 2007年05月23日 11時38分 公開
[小林伸也,ITmedia]

 →(1)アピール不足だったかもしれない──自主規制の現場

最終的には本の形態を見る

中村公彦さんコミティア実行委員会) 他のイベントにしろ印刷屋さんにしろコミケット基準をまず遵守する傾向がありますが、コミケット基準をご説明いただけたら。

市川孝一さんコミケット準備会COMIC1準備会) 僕は十数年、コミケットのわいせつの基準を前代表から引き継いでやっております。前に言ったとおり「性器の露骨な描写」というのを修正してもらってます。コミックマーケットもCOMIC1もそうなんですけど、まず見本誌をもらってます。全サークルが当日出す新刊の見本誌をもらっておりまして、それを全部見る。コミックマーケットですと、1日600〜700人くらいがえっちらおっちら見てるわけなんですけども、その中で、修正がないとか、ちょっとこの修正は薄いんじゃないか、とかといったものを抜き出し、僕が最終チェックをかけています。

 まず男性器の描写についてはカリの部分、女性器の場合はクリトリスというものがしっかりと修正が入っているものが好ましい。修正の仕方は、白ベタであれ黒ベタであれ、モザイクであれ何でもいいと思うんですけども、見えない形であることが非常に好ましい。修正の仕方や大きさとかもいろいろあって、黒ベタで塗らなくても、ぬれ具合で隠したりとかヘアを使って隠したりとか、字を入れてみてごまかしてみたりとか、いろいろなやり方がある。そういったことを逐一確認していく。

 修正がないものは確実に修正してもらいますが、修正が少しのものについては、最終的には本の形態を見るんですよね。成人マークが入っていれば、これは成人しか手に取らない本だと、本単体ではゾーニングがかかってますので、入っていれば少し甘めにしようかと。または奥付がしっかり入っていれば、このサークルさんは自分たちでも責任を取る気があるんだな、がんばっていこうという気が見えるな、という場合には甘めにしていこうと。

 成人マークがなくて奥付もない、修正も少ししかなくてぎりぎりのところだ、というと、ちょっと厳しめに修正してほしいな、というのはやはりあります。商業誌でもそうですが、コンビニで売っているものと、専門書店で売っているものでは修正の度合いが違うんですよね。同じ出版社で出していても全然違うものになっている。それはやっぱり置き場所の問題があると思うんですけども、同じようにわれわれも、しっかりと本の形態を見て、コミックマーケットという場所、COMIC1という場所、即売会という場所で、その基準のどこにあたるか、を見ながら考えていく。

 つまり本の形態によるもの、場所によるもの、修正の仕方──の3つの複合で考えています。それを1日、ぱっと見3分くらいで「このカットどうよ」と頭からひねり出すということをしてるんですけども、1日あたり100冊くらいを見ております。この辺の詳しいことは、ほんとは絵かなんか描いてね、こんな感じで修正してくれれば、ってやりたいんですけども(笑)

中村 3月からかなり具体的なアピールをするようになったコミックシティの参加者の手応えや反応は。

武田圭史さん赤ブーブー通信社) 急な話だったのでどの程度浸透するかは疑問だったんですけど、現状見てる限りにおいては、18禁表示と18禁カードは、特に必ずそれを使わなければいけないものという形にはしてないので……ちょっとデザインがよくないという話があったりとかしたもんですから……

中村 女性はデザインにうるさいですよね。

武田 そうですよ(苦笑)、でも気の利いたものをサークルさんのほうで逆に作ってもいいんだろうか、とか、そういう動きをサークルさんのほうでしてくれたりするので、意外と浸透はしているのかなと。

 18禁表示はスタッフが持って歩いて、18禁表示されてませんね、POPとかも用意してませんね、じゃあしてくださいよと。配る枚数は、例えば春コミなら200〜300枚は出さないとダメなんじゃないかなと見てたんですが、40〜50枚くらいで済んでるらしいので、思ったよりは浸透はしている。続けていけば、もっと浸透するのかなと思っている状況です。

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