キヤノンは5月25日、今年10〜12月期に予定していた「SED」(表面電界ディスプレイ)テレビの発売を、「当面の間」見送ると発表した。米企業との間で争っている訴訟が長期化しているため。発売時期は改めて発表するという。
また、液晶とプラズマの価格下落が急速に進む中、「さらなるコストダウンを実現する量産技術の確立を行う」ことも理由に挙げている。
東芝もこれを受け、同時期に予定していたSEDテレビの発売延期を発表した。キヤノンから「当初予定していたスケジュールでパネルを供給できない旨の連絡を受けた」としており、発売時期は未定という。
SEDはキヤノンがテレビ事業進出の切り札として開発を進めてきたが、発売延期を繰り返してきた(関連記事参照)。SEDライセンス契約をめぐるキヤノンと米Nano-Proprietaryとの訴訟は、5月に米連邦地裁がNano-Proprietaryの主張を認める判決を出し、キヤノンが控訴するなど、長期化は避けられない見通し。
SEDにキヤノンと共同で取り組んできた東芝は、2009年度に有機ELテレビを発売する計画を明らかにするなど(関連記事参照)、両社で温度差も出てきた。相次ぐ発売延期で、“夢の技術”と言われてきたSEDに暗雲が立ちこめてきている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR