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» 2007年10月18日 13時45分 UPDATE

YouTubeの著作権保護ツールにさっそく疑問の声

Googleは約束通りYouTubeの著作権保護ツールをβ公開したが、コンテンツ企業の期待に十分応えるものにはなっていないようだ。

[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米Googleは今週、かねてから言及していた「非常に複雑な」コンテンツ保護ツールを発表するという約束を果たした。だが、このツールは本当に著作権保護活動家らが求めてきたものなのだろうか?

 専門家によると、これは正しい方向に向けた一歩ではあるが、問題解決の特効薬にはならないという。

 Googleの広報担当者が10月16日にeWEEKに語ったところによると、YouTube Video Identificationツールには、著作権所有者が提供する関連資料のデータベースが含まれ、アップロードされた動画の主要な視覚的要素を取り出し、著作権で保護されたコンテンツとの一致を照合できるようになっている。一致が確認されたコンテンツについては、著作権所有者は削除するなり、閲覧を追跡するなり、あるいは閲覧を有料化して収入につなげるなりできるという。

 オーディオコンテンツの著作権侵害を識別するAudible Magicの技術と同様、Video Identificationは著作権で保護された動画のデジタル指紋(それぞれに固有のデジタル署名)を調べる仕組みになっている。YouTubeはアップロードされたファイルをスキャンし、デジタル指紋を確認した上で、ファイルをブロックする。

 Googleはメディア企業の米Time WarnerやDisneyなど計9社のパートナーとともに、この技術のテストを行ったという。著作権所有者や違法コピー対策の専門家の間では、著作権で保護されたコンテンツがYouTubeにまん延していることに対する怒りが高まっていたが、Googleは6カ月以上前から、「そうした状態を解消するためのプラットフォームを開発する」と約束していた。

 YouTubeは訴訟にも巻き込まれている。そのうちの1つは、大手メディアコングロマリットの米Viacomが同サイトとGoogleを相手取り、10億ドルの損害賠償を求めて起こした著作権侵害訴訟だ。Viacomは今回の新ツールについて、楽観的な見解を示している。

 「Googleが自らの責任を果たすべく、著作権侵害行為によって利益を上げるという行為を終わらせようとしている点については、われわれも喜ばしく思っている」とViacomの顧問弁護士マイク・フリックラス氏は声明で語っている。

 一方、著作権保護の活動家らによると、Video Identificationは業界が期待するほどの特効薬にはなりそうにない。

 メディア企業や著作権所有者で構成される業界団体Copyright Allianceのエグゼクティブディレクター、パトリック・ロス氏はeWEEKの取材に応じ、「今回のツールはGoogleがとりあえず提示してきた最初の技術にすぎない」と指摘している。

 「著作権侵害が起きる前に阻止しようというのはいいが、このやり方では著作権所有者に大きな負担を強いることになりかねない」と同氏は語り、著作権で保護されたコンテンツをYouTubeに置かれたコンテンツと照合するためには、著作権所有者が自分のコンテンツをGoogleに提出しなければならない点に言及している。

 ロス氏によると、Copyright Allianceのメンバーのなかでも大規模な組織であれば、おそらくそうした対応も可能だろうが、独立局としてテレビ番組を制作している新興企業や独立系の映画制作者など、小規模な著作権所有者にとってはそうした対応は難しいはずだ。

 「これですべての問題が解決されることにはならないだろう」と同氏は語り、例えば、映画で使用されている楽曲など、著作権で保護された作品がほかの作品に含まれているようなケースには、このツールでは対処できないと指摘している。

 独立系監視団体National Legal and Policy Center(NLPC)のケン・ベーム会長もGoogleの新ツールには満足していない。同氏が懸念しているのは、GoogleがGoogle Videoサービスで映画の著作権をどのように保護するつもりなのかという点だ。NLPCは9月25日に米連邦議会に報告書を送付し、Google Videoサービスでは映画の大規模な著作権侵害行為が行われていると批判している。

 Google Videoサイトでの著作権対策については、Googleはまだ何も計画を明らかにしていない。

 「今後、このYouTube Video Identificationシステムの改良を進めていくなか、そう遠くない将来にGoogle Videoサイトにも革新的なソリューションを拡張できるよう、著作権所有者らと協力していくのが楽しみだ」とGoogleの広報担当者はeWEEKに語っている。

 一方、NLPCのベーム氏は、違法コピー阻止のためのコンテンツフィルタリングシステムをGoogleがまだ開発せずにいるのは、同社にとっては海賊版映画から得られるトラフィックも重要だからではないかと指摘している。

 「われわれに言わせれば、今回の措置は規模が小さ過ぎるし、時期も遅過ぎだ。Googleは技術的に世界で最も優れた検索エンジン企業であり、これだけの時間があれば、既に何かしらフィルターを配備できていたはずにもかかわらず、とても完全とはいえない対応でお茶を濁そうとしている」と同氏はeWEEKに語っている。

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