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サービスは無料、ソフトは有料?――ネットユーザーの“対価”感覚

» 2008年03月10日 20時15分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 先週は著作権関連の記事がアクセス上位に入った。トップは、京都大学構内に登場したハイクオリティーな「てんどんまん」型のはりぼて像について、著作権者が撤去を要請せず、大学も黙認したという“粋な計らい”がネットで話題になった――というニュース。2位、4位は、「mixi」の著作権に関する規約についての騒動。それぞれ、ネットユーザーが著作権に敏感になっている、ということを改めて感じさせる内容だった。

 さて、初音ミクの3Dモデルを自由に踊らせることができる「MikuMikuDance」という無料ソフトが人気――という記事を今日掲載した。初心者でも手軽に3D動画を作成できるソフトで、そのクオリティーの高さから「作者にお金を支払いたい」という人が続出し、「振り込めない詐欺」とまで言われているが、作者はお金を受け取る気はないというのは、記事に書いた通りだ。

 これまでネット上にはさまざまな個人が無料でツールやサービス、コンテンツを開発してみんなを楽しませてくれた。最近のネットサービスで言えば「黒板.in」などがその例だろう。

 「ニコニコ動画」や「pixiv」「ピアプロ」のような動画/静止画投稿サイトでは、ハイクオリティーなイラストを描いたり、アニメを作成したり、ダンスを披露したり、楽曲を公開したりと、時間と労力をかけた――それこそ「才能の無駄遣い」のコンテンツが惜しげもなく“投下”されている。

 こういったWeb上のサービスやコンテンツに対して「才能の無駄遣い」と賞賛する人は多い。だが「どうしてもお金を払いたい」と言い出す人はあまりいない。

 “神ソフト”に対しては多くのユーザーが「お金を払いたい」と思うが、コンテンツやサービスなら無料で受け入れる。コンテンツやサービスの作成にかかる労力は大きく、ソフト開発よりコスト高な場合もあるかもしれないのに、これはなぜなのだろうか。

 理由は推測するしかないが、ネットユーザーは、ダウンロード型のシェアウェアにお金を払うことに慣れている上、exeファイルをローカルPCに取り込めば“自分のもの”にできるため、「お金を払いたい」という発想が自然に出てくるのかもしれない。一方で、ネット上の動画やイラスト、サービスは無料のものが圧倒的に多いため、お金を支払うという発想に行き着きにくい気がする。

 ネット上の「対価」感覚も意外と、習慣に縛られているのかもしれない――そう感じたできごとだった。

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