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「ハルヒは、いい」――米国の砂漠でアニメを語る“グランピーじいさん”に、いろいろ聞いてみた

» 2008年06月26日 17時51分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ごつごつした岩地にサボテンが生える、米国・アリゾナの荒れ地。白いひげを蓄え、大きな眼鏡をかけた白人の初老の男性が、ゆっくりと歩いてくる。つばのある白い帽子をかぶり、リュックを背負っている。ハイキングに来たのだろうか。

画像 「涼宮ハルヒの憂鬱」レビュー動画より

 リュックからおもむろに取り出したのはアニメDVDの箱。「おはよう。このボックスの中のDVDを、プレーヤーに入れてみよう」――

 砂漠の映像を背景に、グランピーじいさんは真面目な顔で、だが楽しそうに、「涼宮ハルヒの憂鬱」の評論を始める。「あまり好きなジャンルではないが、このアニメで笑ったことを認めないとね。気に入ったよ」「キョンというキャラによる解説が面白くてね」

 彼は自称グランピーじいさん(GrumpyJiisan)。アリゾナに住む60歳で、YouTubeに日本のアニメ評論の動画を投稿している(GrumpyJiisanのYouTube)。ハルヒ動画の背景は、途中で砂漠の映像に変わっているようだが、「ひぐらしのなく頃に」「ジョジョの奇妙な冒険」「ジパング」などは、実際にアリゾナ砂漠やアリゾナの峡谷で評論し、動画に収めている。


画像 「ニコニコ動画」に字幕付きで転載され、人気に

 動画は「ニコニコ動画」に字幕付きで転載され、「アリゾナの砂漠で日本のアニメを評論する変わったおじいさん」「アニメ仙人」「俺たちの将来像だ」などと人気に。最もよく見られているハルヒの動画はこれまでに6万回以上再生されており、その批評の的確さには日本のアニメファンも舌を巻く。

 彼はなぜ、砂漠でアニメ評論をしてYouTubeにアップしているのだろうか。YouTubeのメッセージで本人に聞いてみた。

――日本のアニメはいつごろ、なぜ見始めたのですか。

 私はアニメの専門家ではありませんが、20年以上前からエンターテインメントのために日本のアニメを見てきました。日本のアニメには、米国にはあまりない、新しいタイプのSFがあります。特にガンダムやマクロスなど長編シリーズのアニメには。

 最初は輸入レーザーディスクで見て、好きなアニメや嫌いなアニメについて語り合っていましたが、最近見るのは北米でDVD化され、英語字幕が付いているものがほとんどです。米国のバンダイなどが出しています。

――なぜ日本のアニメを評論する動画を作り、YouTubeに投稿しているのですか?

 動画を作り始めたきっかけは、中古DVDの交換や、DVDについての議論ができるWebサイトでした。そのサイトではメンバーが動画をアップロードすることができるので、自分が持っていたアニメDVDについての評論をいくつかアップしました。

 サイトのメンバーは大半の米国人と同様、アニメDVDについてよく知りませんでした。アニメはニッチなのです。今、サイトは閉鎖されてしまいましたが、私は動画を作り続け、YouTubeにアップロードするようになりました。

――なぜアリゾナの砂漠や渓谷で動画を撮影しているのでしょう。

画像

 私はアリゾナに住んでいて、アリゾナの山や峡谷をハイキングするのが大好きです。以前はコンピュータソフト開発を請け負う仕事をしていましたが、もう引退したので、ハイキングする時間はたっぷりあります。

 動画はハイキング中に作りますが、ちょっと変かもしれませんね。PCの前で作れば、もっと簡単に、もっと音質の高い動画を作ることができるでしょうから。

 でも、屋外の風景を入れることで動画に地元の雰囲気が加わりますし、ハイキングという趣味を動画に反映できると考えました。

 動画を撮影している具体的な場所を知りたい方は、YouTubeの動画ページ下部にある「統計&データ」のタブをクリックすれば、Google Mapsで位置を示すことができます。ダブルクリックすればズームアップも可能です。

――一番好きなアニメは何ですか。

 うーん、1つだけ選ぶのは難しいですね。「紅の豚」かな。でも「千と千尋の神隠し」「ナウシカ」「王立宇宙軍 オネアミスの翼」「マクロス」(TVも映画も)、「Zガンダム」「ほしのこえ」「灰羽連盟」「千年女優」「火垂るの墓」も好きですよ。

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