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エキサイト、「ポータルサイトとしての原点回帰」で再建へ

» 2009年05月11日 20時05分 公開
[小笠原由依,ITmedia]
photo エキサイトの野田俊介社長

 2期連続で営業赤字を計上したエキサイトは、再建に向けて“原点回帰”に取り組む。ポータルサイトという原点に立ち戻り、「Excite」トップページを改修するなどメディア事業を強化するほか、「エキサイトフレンズ」などコミュニケーション事業に注力して立て直しを図る。

 5月8日に発表した2009年3月期の連結決算は、売上高が前期比2.6%減の128億2600万円、営業損益が4億7200万円の赤字(前期は2億400万円の赤字)、純損益が23億600万円の赤字(同19億6900万円の赤字)だった。

 09年3月期はFX事業やクレジット事業から撤退するなど整理・再編を行い、選択と集中を進めてきた。今後は、同社の原点でもあるポータル「Excite」を中心としたメディア事業と、「エキサイトフレンズ」「エキサイト恋愛結婚」などコミュニケーション事業に注力し、黒字化を図る。

 2007年3月期は売上高の約半分をメディア事業が占めていたが、09年3月期は約4分の1まで下落。野田俊介社長は、「ポータルサイトを運営する会社と再認識し、ネット広告を増やしていきたい」とし、メディア力を強化する方針だ。

 メディア力の強化策は、(1)使いやすいトップページでポータルサービスを復興、(2)女性向けコンテンツなどのキラーコンテンツの育成、(3)iPhoneアプリの提供やモバイルコンテンツを強化――など。広告は「すぐに伸びるわけではなく、2年計画」と中期的に取り組む姿勢だ。

 月額315円で会員同士がメール交換できる「エキサイトフレンズ」や、「エキサイト恋愛結婚」などコミュニケーション事業にも注力。特にエキサイトフレンズは利益率が高いという。これらのサービスで培ったノウハウを生かした新サービスの投入も検討している。

 「何をするにもエンジニアの落とし込みが必要」とし、4月1日付けで技術部門を重視した組織体制に変更。CTO(最高技術責任者)や、全社のリソースやノウハウを生かしたサービス企画・開発を指揮するCSO(最高戦略責任者)を設置し、「作る部分と売る部分の連携に注力する」としている。

 2010年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比1%増の130億円、営業利益が1億5000万円、純利益が5000万円と黒字転換を見込む。「コアにすべて注ぎ込み、黒字化を図る」と野田社長は意気込んでいる。

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